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(3) 仕向地原則について

○ かつては、租税境界が設定できなければ州・地方段階での付加価値税は原産地原則によるしかないと考えられてきた。

○ 原産地原則にも、資源配分の歪み・租税競争、税収の偏在等の難点があり、仕向地原則に対する優位性にも重大な疑問が生じる

○ 原産地原則と仕向地原則の優劣比較について、現代の租税論の最先端においては、付加価値税は仕向地原則に基づくことが望ましいとした上で、租税境界における統制なしにいかにして境界税調整を行い仕向地原則を適切に実施するかが検討されている。

○ 仕向地原則では、租税境界を設定しなくても、資源配分を歪めずに税率決定権を保障できるメリットがある。具体的には、税額控除清算方式と繰延支払方式のの二通りがある。

○ 税額控除清算方式では、前段階税額控除の連鎖が切れないので脱税が起こらないというメリットがあるが、各地域で税率が違うと付加価値税の計算が不正確になるいわゆるキャッシュフロー問題が生じるデメリットがある。

○ 税額控除清算方式でありながら、各地域が独自に税率を定めてもキャッシュフロー問題が起こらない方式として、カナダの学者ポダーによるモデルがあり、このポダーモデルの研究を深めることが必要。

○ 税務行政コストの節約を重視するならば、修正型税額控除清算方式で、ポダーモデルが参考となる。

○ カナダ大西洋沿岸3州で行われている統合売上税では、最終消費に免税企業、公共部門、住宅部門、金融部門を加えた潜在的課税標準を各州への配分基準に用いており、最終消費局面に基づく税収配分のモデルとして研究が進められている。

 

 

 

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