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2] 環境政策と法定外税

現在各地方公共団体が検討している法定外税の中には、環境関連税制が数多くある。

環境関連税制の類型としては、環境汚染抑制のための「経済的手法」、としてのインセンティブ税制と、環境対策の財源調達手段としての特定財源としての税制の活用が考えられるが、特に環境関連税制については、インセンティブ税制的な活用になじむものと考えられる。他方、環境汚染の原因者等から徴収した税を、環境対策経費に充てるということも有効な施策となる可能性がある。

ただし、そのような場合においても、特定の企業や事業・産業が地域内で存立できないようにするような税が認められるかどうかは別問題であり、今後の事例等も踏まえつつ、慎重な検討が必要ではないか。

また、産業廃棄物関係の法定外税に関連して、複数の県で広域的に検討しようとする取組みが見られるが、重要な試みとして注目すべきである。

なお、地球温暖化対策のC02排出抑制のためのいわゆる炭素税については、全国的共通の制度として地方税に導入することも有効な仕組みと考えられるが、個別団体ごとに導入するかしないかが分かれたり、仕組みが異なることとなりうる法定外税で対応することはなじまないものと考えられる。

 

【参考:インセンティブ税制】

従来は、税制の有するインセンティブ機能については、租税特別措置等により、一定の要件を満たした場合に税を優遇・軽減するという形で発揮されるものが中心であった。

近年、環境問題に取り組む政策手法として、規制と並んで「経済的手法」が注目されており、補助金、排出許可証・排出権売買、デポジット制、料金制とともに「経済的手法」の一環として、租税・課徴金の活用が国際的にも広まってきた。

環境税には、インセンテイブ税制と財源調達手段の税制があるといわれているが、インセンティブ税制の特徴は、環境に及ぼす負荷に応じた課税を行うことで、納税者に環境負荷を削除するインセンティブを与えることにある。したがって、インセンティブ税制は本来税収の確保を目指すものではなく、逆に「税収が減っていくほど税制の目的が達成されている」という評価さえありうる。

 

 

 

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