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2] 住民との関係

課税自主権の活用による税収確保を図る際には、税負担の増加に対する住民の合意を得ることが重要であるが、どのように情報公開を行いながら合意形成を進めていくかが今後の重要な課題となる。

住民の意識としては、新しい施策自体が必要で納得できるものであれば、新税の創設もやむを得ないという意識を持っている方が多いのではないか。言い換えれば、税についての住民の最大の関心事は、税の使い道であって、負担軽減ということではないというふうにも考えられる。

なお、住民に対する情報提供としては、インターネット等を通じて、詳細なデータを提供する一方、公報などの在来メディアを通じてわかりやすくかみ砕いた情報を提供していくことも必要であろう。

 

3] 行政の活性化

これまでは、地方の税務行政は、決められたルール通りに税を賦課徴収していればよかったが、今後は、自治体としてどのようなビジョンに基づいてどういう施策・サービスを展開するかということと関連づけて税制を考えていかなければらない。

自治体において、法定外税、特に法定外目的税に関する議論を通じて、納税者による行政施策の点検が活発化し、地方行政全体が活性化する時代を迎えつつあると言えるのではないかと考えられる。

 

(4) 法定外税のあり方

1] 法定外税の活用方法

法定外税の新設には、税収確保と並んで、政策目的のためのインセンティブ税制という側面がある。主要な税源はすでに国税・法定地方税の課税対象とされていると考えられ、法定外税では大規模な税収の確保を図ることは一般には困難ではないかと考えられる。インセンティブ税制として活用することは、法定外税の意義にかなうものと考えられる。

 

 

 

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