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ただし、十分なインセンティブを発揮するためには、相当の高率で課すことが必要となる場合が多いといわれており、実現可能性と実効性の両立が課題となりやすい。税率を抑えつつ政策目的を達成するための手段として、インセンティブ税制とその税収による技術開発等のポリシーミックスや、インセンティブ税制による重課と従来型の優遇・軽減措置の組合せ等の方法も考えられている。

 

3] 地方税法上の同意要件

今回の調査研究では、法定外税に関する総務大臣の同意要件について、地方税法の条文の解釈の検討を行うには至っていない。

しかし、許可制が協議制に変わっても、依然不同意ということが起こりうるものであり、その場合、地方分権一括法により新たに設けられた国・地方の係争処理手続きに移行する可能性があり、そういう場合も想定して、今後、実例等の積み重ねも踏まえつつ、同意要件をはじめとする地方税法上の解釈・運用を整理していくことが必要である。

 

4] 懸念される点

法定外税の新設に当たって、地域において発言力の小さい納税者のグループを対象に、とりやすいところからとるという風潮が生じないかについては、懸念ももたれるところである。

地方分権推進の観点から課税自主権を拡充した結果、受益と負担の関係の不明確な形で税収の増加を図ったり、租税の基本原則にもとるような税制の導入を図る地方団体が増えるとすれば、地方公共団体の行政能力に対する不信を招き、地方分権推進の機運に水を差すことにもなりかねない。

 

 

 

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