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平成13年度の地方財政対策により交付税特別会計の借入金の元金償還は平成19年度以降に繰り延べされており、当面影響は少ないと考えられるが、当該借入金の償還を個別の地方公共団体の公債費とみなし、分析を行うことについては、個別の地方公共団体への分割方法をどう考えるか、個別の地方公共団体の財政分析を行う際にマクロ的な地方公共団体全体の借入金を勘案することは時系列的な比較からしても問題ではないかなど困難な問題がある。

 

(2) 交付税の基準財政需要額に算入された公債費

交付税の基準財政需要額に算入された公債費が増えてきており、この部分を財政分析指標上勘案すべきか、検討した。

起債制限比率については、交付税の基準財政需要額に算入された公債費は財源保障されていることに着目し、特定財源と同様指標の分母分子から控除しているが、経常収支比率及び公債費負担比率について同様に考えるべきかについては、現実の収入支出ベースで財政分析を行う指標であることや時系列的な連続性等について留意する必要がある。

 

(3) 法定外普通税等臨時一般財源とされる地方税

都市計画税、法定外税及び超過課税については、臨時的収入と区分されているが、地方分権一括法の施行等も踏まえ財政分析指標上の取扱いについて検討した。

平成11年度決算統計の都市計画税、法定外普通税及び超過課税の状況は次のとおりである。

 

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決算統計上、目的税のうち都市計画税及び法定外普通税は、地域限定性があるため、適用期限のある超過課税分は、一時性に着目し臨時的収入に区分されている。地域限定性から臨時的収入に区分されている収入は目的税のうち都市計画税、法定外普通税だけである。

法定外普通税についてはこれまで「財政需要があることが明らかであること」という要件があり、超過課税については「財政上の特別の必要があると認める場合」という要件があるため地方公共団体では両税について期限を設けているが、延長が繰り返されているものが多く、また、地方分権一括法による改正により、課税自主権を尊重し、地方税の充実確保を図る観点から、法定外普通税が許可制から同意を要する協議制に変わるとともに、法定外目的税も創設されたことに伴い、「財政需要があることが明らかであること」という要件も外されることとなった。

このような状況が臨時的収入と経常的収入の区分に影響を与えるかどうかについて、指標の時系列的な連続性等についても留意しつつ、引き続き考えていく必要がある。

 

第4 むすび

 

財政分析指標は、決算統計上の数値を用いて全国的な指標が作られ、各地方公共団体においても財政運営の参考とされてきている。地方財政を取り巻く環境は、それぞれの指標が導入されて以来大きく変化しているが、他方、指標の連続性もあり、今後実務的な検討が様々な角度から行われ、地方財政全体又は各地方公共団体の財政状況に関する客観的な見方に資する改善が行われるよう希望する。

 

 

 

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