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財源対策債等は、国庫補助金などとは異なり、地方財政の財源不足額を補うため、地方債も充当しうる特定の経費に着目し、そこに本来充てられるべき一般財源等の代替財源として発行されるものであり、経常的に収入されるべき部分の収入とも考えられる。

しかし、財源対策債等は投資的経費等特定の経費に充てるため発行される地方債であり、個別の団体の投資的経費等の額により発行額は左右されること、また、一般財源等とされる地方債に比べて過去多く発行されており、時系列比較に影響を与える範囲が広いことに留意する必要がある。

 

○公債費負担比率

本来地方税や地方交付税等一般財源等として収入され公債費負担比率の分母に算入されるべき財源が地方財政対策により財源対策債等に振り変わることになると、公債費負担比率の分母が小さくなり、経常収支比率が上昇することとなる。

経常収支比率の検討と同様、個別の団体の投資的経費等の額により発行額は左右されること、また、時系列比較に影響を与える範囲が広いこと等に留意する必要がある。

また、最近、財源対策債等が増加している現状からすると、個別の地方公共団体の分析を行う場合には、指標が影響を受けている点を留意すべきであり、起債制限比率等と併せて分析を行うことが適当と考える。

なお、地方財政の長期借入金が累増する中、当該指標を活用し、地方財政全体の公債費負担を把握していくことは今後も重要であると考える。

 

○起債制限比率

地方財政対策により地方税等の振替財源的な性格を有する地方債のうち減収補てん債のように普通交付税の基準財政収入額に算入されるものは起債制限比率の分母の基礎となる標準財政規模に含まれるため、起債制限比率に影響を与えないが、基準財政需要額を縮減することとなる財源対策債等については標準財政規模が縮減されるため起債制限比率が上昇することとなる。

経常収支比率の検討と同様、個別の団体の投資的経費等の額により発行額は左右されること、また、時系列比較に影響を与える範囲が広いこと等に留意する必要がある。

 

 

 

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