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12. 北九州市における既成市街地の居住政策の事例

 

企画・学術振興局企画政策室主幹 中出邦朗

 

I はじめに

北九州市は、昭和63年の「北九州市ルネッサンス構想」策定以来、「水辺と緑とふれあいの“国際テクノロジー都市”を基調テーマとしたまちづくりを進めており、平成11年度から取り組んでいる第三次実施計画では、まちを「再生」から「浮揚」へと導き、「21世紀都市北九州―北九州新時代―」を築くための諸施策を進めている。

この計画期間中に目指すべき6つの都市ビジョンとして、「環境未来都市」「少子・高齢社会モデル都市」「教育・文化充実都市」「産業・頭脳未来都市」「交流・物流拠点都市」「地域・生活充実都市」を掲げ、「共創・参画」「経営・戦略」「簡素・効率」「連携・分担」という4つの都市経営の視点から、計画を推進することとしている。

さらに住宅施策に係るものとして、「交流・物流拠点都市」の創造では、市街地再開発事業や土地区画整理事業などの施策、また「地域・生活充実都市」の創造では、定期借地権付分譲住宅、住宅市街地整備総合支援事業や住環境整備事業などの施策を掲げ、「快適な住環境」と「ゆとりと安心の住宅供給」をコンセプトとして、多種多彩な事業を展開し、住宅の整備を推進することとしている。

本市における居住政策の事例を紹介する前に、都心・副都心と中心市街地施策について説明したい。

 

II 都心・副都心施策

1 「多核都市論」から「都心・副都心構想」へ

本市は、昭和38年2月世界にも例のない5市の対等合併(門司、小倉、八幡、若松、戸畑市)により誕生した経緯もあり、発足当初から、「多核都市」としてバランスある発展に配慮しながら都市運営を行ってきた。

こうした多核都市づくりは、大都市が抱える地価高騰や交通渋滞、住宅難など過密都市の問題を防ぐという面ではプラスとなったが、反面、百万都市にふさわしい行政・経済・文化などの都市機能が集積しなかったというマイナスの側面も残してきた。

 

 

 

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