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5. 今後の課題

 

先にも触れたが、新しい長期総合計画の重点的な取組みの一つとして「魅力的で活力ある都心の整備」を挙げている。この位置付けを受けて、現在、都心の目標像をより具体化し、そのうえで公共、民間の各種施策・事業をその目標との関わりで位置付けるための計画づくりに取組んでいる。

その中では、札幌市ではこれまでさほど意識していなかった「都心コアでの居住」が一つの大きなテーマとなっている。

札幌は、都心のコアに商業業務施設が高度に集積しており、いわば人口の空白地帯を形成している。今後、人口増加の鈍化とシビルミニマムの概ねの達成を背景として、市民生活の質の向上や世界の都市に伍して活力を高めていくための一つの条件として、街なかにさまざまな階層の人々が日常的に居住していることが不可欠と考える。

このため、都心のコアでは、高次な都市機能と居住機能とをいかに複合的に確保し、都心での豊かな活動を支える空間をいかに整備していくか。さらにそれを実現するためにどのような手法や民間との連携関係がふさわしいかなど、魅力的で活力ある都心のまちづくりの一つの要素として、都心居住のあり方を深く検討する取組みを始めたところである。

 

<補注>

(1) 浅見泰司(1992)、「都心居住推進の論拠」、(住宅問題小委員会、『住宅政策理論と都市計画理論の連携のための基礎的研究』、pp.13-28、日本建築学会 建築経済委員会)

(2) 巽和夫、毛谷村英司(1992)、「魅力ある都心居住」、都市問題研究496、pp.14−28

(3) 東京都市圏交通計画協議会(1993)、「東京都市圏総合都市交通体系調査報告書」、pp.70

(4) Seattle City Council (1994). The City of Seattle Comprehensive Plan: Toward sustainable Seattle. Seattle, WA.

(5) 本章は、星卓志(1998)、「都心居住の有効性の観点に立った都心居住者の生活行動特性」、第33回日本都市計画学会学術研究論文集、PP.625-630を基に編集している。

(6) 回答者居住地の属するゾーン(市街化区域を約6,O00の小区域(平均約4ha)に区分したもの。)の重心座標と目的地の属するゾーンの重心座標との直線距離。

(7) 複数回答の場合は第一回答のみとしている。アンケート上の選択肢は、徒歩、自転車、オートバイ、自家用車、タクシー、バス、地下鉄、市電、JR、その他となっており、通常徒歩や自転車と自家用車の併用は考えられないことから、自家用車を含む複数回答(例えば自家用車と地下鉄など)の場合は自家用車が第一回答となる。

 

 

 

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