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その他の国々は強力な「法治国家」の伝統があり、NPMの理念に抵抗しているが、それでもやはり改革に関心を抱いている。ドイツとフランスは、ここでもっとも輝かしい例である。両国ともそれぞれ、みずからの改革の道を拓こうとしている。フランスは、同国がかなり中央集権化したままにとどまり、強大な権力を持つ大統領によって統治されているが、大規模な変化を起こすのもそれほど難しくないことが判明した。連邦制のドイツでは、変化に関する制限が憲法に埋め込まれているため、連邦レベルでの変化は難しそうだと思われるかもしれないが、下位のランダーや市町村のレベルではおそらく可能だろうという証拠がある。最後に、北欧の三ヶ国―フィンランド、オランダ、スウェーデン―がある。これら諸国はさまざまな方面で、三国三様だが、一般的な意向が合意主義に向いている点、ガバナンスが中程度の協調主義的スタイルである点は共通している。これは、NPMの角を丸めて、国家官僚制の明白な批判を減らし、MTMや民営化にも、狂喜乱舞といったアプローチよりもむしろ慎重であり、実行のスタイルもニュージーランドやイギリスで優勢だった動きより急速ではない(人によっては、それほど無慈悲でないと言うだろう)。

 

上記の観察は、何が起きるか予期することである。次章と付表Aにおいて、改革の軌跡を、国別に、より詳細に説明する。したがって、ここで確認され論じられた政治行政の変数の予測力が検証されるだろう。

 

 

 

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