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3] 着荷主における荷受け負担の軽減

決まった時刻に貨物が配送されることが多くなるため、着荷主において荷受け要員の計画的な配置などが可能となり、荷受け負担が軽減される。

4] 企業イメージの向上

物流事業者と同じ。

(3) 社会的効果

1] 道路混雑の緩和

車輌の大型化、交錯輸送の削減などにより集配送トラック台数が減少するため、道路混雑を緩和し、道路交通の円滑化に寄与する。

2] 大気汚染の抑制

輸送効率の向上により、トラックの総走行台数が減少するため、トラックからの排出ガスが削減され、大気汚染の抑制に寄与する。

 

4. 同業種共同配送の課題

 

1] 利害調整方法

参加事業者間の利害調整をどのように行うかが、大きな課題となっている。先進事例では、関係事業者間の協議により利害調整が行なわれていたが、一部から、荷主に偏った利害調整の回避、物流事業者のノウハウの活用、荷主のニーズ変化への対応という観点にたてば、物流事業者が協議に加わることが望ましいとの指摘があった。

2] イレギュラーな時間指定納品、緊急納品などの、荷主の個別ニーズヘの対応

共同配送が成り立つためには、定時一括配送の徹底が不可欠となるが、多くの事例において荷主からイレギュラーな時間指定納品や緊急納品等の要求があり、これにいかに対処するかが大きな問題となっている。

対応方法としては、共同配送の運賃体系や輸配送便などでこうした荷主の個別ニーズに対応し、それに伴うコスト上昇を物流事業者が負担するケースや、こうした荷主の個別ニーズには通常の輸送サービスで対応し、共同配送とは別の運賃を荷主が負担するケースもあった。

3] 機密漏洩対策

共同配送を通じて、参加事業者の機密情報が他の事業者に漏れることを懸念する企業が多い。これに対し、ファイアーウォール等のセキュリティ技術の活用により対策を検討する先進事例もあったが、大半は、物流事業者が高い品質の物流サービスの提供を続け、地道に荷主の信頼を維持するという対応であった。

4] 参加荷主間の各種書式の相違

貨物の荷姿や送り状、EDIフォーマットが荷主によりまちまちであるため、物流システム機器による省力化の妨げになったり、物流事業者の事務処理負担やシステム開発負担が余計にかかることが問題になるケースが多い。

この問題に対しては、各荷主の様式をそのまま用いるケースもあったが、参加事業者間の協議により、これらの様式を統一化するよう荷主を説得するケースも見られた。

5] 共同配送センター等の費用負担

共同配送を進める上で、共同配送センターの投資負担や情報システム開発費用等を、どのように参加事業者間で分担するかが大きな課題となる。

これについては、物流事業者がすべてコストを負担しているケースもあったが、参加事業者間で均一に分担している事例もあった。

 

5. 同業種共同配送の成功のポイント

 

1] 基本理念の確立

複数の事業者が提携して事業を行うためには、共同事業の基本的な目的について関係者間で合意が形成されていなければならない。同業種共同配送の基本理念を参加事業者間の協議により確立することが必要である。

2] リーダーの確保

同業種共同配送は本来利害が対立する事業者間で行なわれるため、参加事業者間の利害調整が必要となる。

 

 

 

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