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このため、意思決定能力、統率能力、問題解決能力等を備えたリーダーが必要である。

3] 参加事業者間の信頼関係の形成

同業種共同配送が成功するためには、参加事業者間で信頼関係が形成されていなければならない。例えば、同業種共同配送システムを構築するとき、参加事業者から対象商品の販売先構成や納品価格等の機密情報が提供されることが必要となるが、このためには、これらの情報が目的外に利用されないという信頼関係の形成が前提となる。

4] 既存物流事業者との役割分担

参加事業者が、これまで取引していた物流事業者の収益機会が失われることを懸念して、同業種共同配送が立ち上がらないケースがある。このため、同業種共同配送の実施後における既存物流事業者との役割分担を明確にすることが必要である。

5] 公平なコスト分担/利益配分ルールの設定

同業種共同配送が成功するためには、すべての参加事業者が等しくメリットを享受することが必要となるため、公平なコスト分担/利益配分ルールの設定がポイントとなる。

6] 情報システムの積極的な導入

今日物流を効率化し、顧客ニーズに応えるためには、EDI等の情報システムの利用が不可欠となっている。同業種共同配送も例外ではなく、情報システムの利用により、輸配送計画の自動化、リードタイムの短縮、貨物追跡情報の提供等、効率的で品質の高い物流サービスを提供することが必須である。

7] 荷姿、伝票様式等の標準化

同業種共同配送では多くの荷主の商品を扱うため、保管・荷役や事務等の作業の効率化のためには、荷姿や伝票様式等を標準化することが必要である。

8] 定時一括配送ルールの徹底

同業種共同配送では、輸配送依頼締切時刻や集配送時刻等を定時化していなければ成立しないため、定時一括配送ルールを徹底しなければならない。

9] 独占禁止法の遵守

同業種共同配送は、競争関係にある事業者間の共同事業であるため、事業が競争を阻害することにより独占禁止法に抵触することがないよう留意しなければならない。例えば、同業種共同配送の検討組織は独占禁止法上の事業者団体に相当するため、事業者団体成立届を公正取引委員会に提出しなければならない。また、参加ルールについても脱退の制限、参加の強制等があってはならない。

 

6. おわりに

 

同業種共同配送は、物流コスト削減の有効な手段であり、かつ、地球環境に配慮した配送手段として企業のイメージアップにもなるため、荷主に今後ますます着目されるものと考えられる。このため、「提案型物流」の重要性が叫ばれる今日、物流事業者において、同システムは独自の物流サービスを展開するための企業戦略の重要な柱になると考えられる。

今回の調査成果を踏まえ、「同業種共同配送推進マニュアル」としてまとめ、巻末に載せた。同業種共同配送システムが多くの企業間で導入され、物流の効率化、地球環境の保全に役立つことを期待したい。

 

報告書:「同業種共同配送システムの推進に関する調査」

(資料番号110022)、A4版 269頁

 

 

 

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