日本財団 図書館


同業種共同配送システムの推進に関する調査

 

1. 目的

 

同業種共同配送は、物流コスト削減のみならず、道路混雑の緩和、環境負荷の低減等、物流を取り巻く社会的課題の対応策として有効であると期待されている。本調査では、同業種共同配送を実施している荷主、物流事業者などへの調査を通じて、システム構築のための課題、成功のポイント等を明らかにし、推進方策を検討し、実施のためのマニュアルを作成する。

 

2. 共同配送の取組み状況

 

同業種共同配送の先進事例16についてヒアリング調査を実施し、さらに、物流事業者212社及び荷主173社を対象としたアンケート調査を実施した。同業種共同配送の取組み状況、効果、課題、物流事業者の提案状況等を調査し、同業種共同配送の成功のポイント、課題と解決方法などを整理した。

共同配送を実施または計画している企業は、物流事業者が17%、荷主が7%、必要性を感じている企業は、物流事業者が37%、荷主が24%であった。同業種共同配送を開始した理由としては、物流事業者では「コスト削減」、「同業他社との差別化」、「着荷主の荷受け負担の軽減」、荷主では「コスト削減」、「顧客の荷受け負担の軽減」を挙げる企業が多い。また、異業種共同配送と比較すると、荷主では同業種共同配送の方が道路交通問題の対応、環境問題への対応を挙げる企業が多いことが特徴として上げられる。

 

3. 同業種共同配送の効果

 

(1) 物流事業者への効果

1] 積載率の上昇

同業種共同配送の実施により、複数の荷主の貨物が束ねられるため、トラックの積載率が、10〜30%程度改善すると回答する企業が多い。

2] 売上高の増加

同業種共同配送の実施により、物流事業者のサービスメニューが増加するなど、サービス水準を高めやすくなる結果、荷主における自営転換が促進されたり、荷主からの信頼が高まる。また、これまで取引がなかった荷主との接点が広がり、物流事業者の新規顧客の獲得機会が増加する。このため、物流事業者の売上高の拡大を期待できる。

3] 企業イメージの向上

道路混雑や大気汚染の緩和などの効果を環境への取組みとして評価、企業イメージの向上につながる。

(2) 荷主への効果

1] 物流コストの低下

同業種共同配送の実施により物流の効率化が進むため、荷主の運賃負担が軽減される。荷主の個当り運賃が10〜30%程度改善すると回答する企業が多い。

2] 物流品質の向上

定時性が高く、誤配が少ない物流サービスが求められ、システムの検討を通じて物流事業者の業務改善が促され、結果、高い品質の物流サービスが提供される。

 

 

 

目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION