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これ以外にも、バスにおいては品質協定・品質契約の導入やP&Rの推奨など、公共交通の利用促進による選択幅の拡大が目指されている。また、鉄道については鉄道戦略局が新たに設置され、鉄道駅における乗継ぎ利便性の改善等が目標とされている。

(2) オランダにおける総合交通政策の現状

オランダでは、1990年に第一次運輸構造計画(SVV-II)が国レベルの長期基本政策として定められ、その下にインフラ交通整備5ヵ年計画(MIT)が定められている。ここでは「環境とアメニティ」、「モビリティの管理と抑制」、「アクセシビリティの確保」が政策目標とされ、各々について具体的な目標値が厳密に定められている。しかし、公共交通機関の整備に対して莫大な投資がなされたにもかかわらず、自動車からの転換が微少にとどまっていることから現在、新たに第一次全国運輸交通計画(NTTP)が策定されつつあるところである。またNTTPでは前計画の反省を踏まえ具体的な数値目標は一切削除される予定となっている。一方で、地方レベルにおいては、交通計画と土地利用計画との連携施策としてABCポリシーが実施されている。これは対象地域の交通条件と企業のモビリティ特性に応じて、A・B・Cの3つの地区を指定し、各地区について駐車場の整備を規制するものである。ただし、その実効性や規制に対する権利侵害に関して疑問の声が挙がっているのが実態である。

 

4. 我が国への示唆

 

計画・施策の一貫性(英国のplan-led system)や事後評価(年次報告書の作成義務)、関係主体間の連携(中央政府による地方自治体への政策指示の方法)等では)我が国の交通政策にとっても参考になるところが大きい。また、具体的な数値による政策目標の設定を目指す英国と、その限界を悟り、方針転換を図りつつあるオランダの事例に学ぶところも大きいと考えられる。

 

報告書名 : 「交通モード間の連携を中心とした総合的な交通政策に関する調査報告書」

(資料番号 : 110028)

本文 : A4版 175頁

資料 : A4版  22頁

報告書目次 :

本編

第1章 序章

1.1 調査の背景と目的

1.2 調査項目及び報告書の全体構成

第2章 調査の基本的な考え方

2.1 既存の総合的な交通政策

2.1.1 既存の総合的な交通政策のレビュー

2.1.2 既存の総合的な交通政策の整理

2.2 本調査における検討対象

2.2.1 対象とする総合的な交通政策

2.2.2 検討の視点

第3章 我が国における総合的な交通政策の現状

3.1 調査の目的及び方法

3.1.1 調査目的

3.1.2 調査項目

3.1.3 調査方法及び調査対象

3.2 総合的な交通政策に関わる既存計画の事例及び課題

3.2.1 総合的な交通政策に関わる既存計画の概要

3.2.2 総合的な交通政策に関わる既存計画における土地利用と交通の連携の現状

3.2.3 総合的な交通政策に関わる既存計画の策定、及び実現にあたっての課題

3.3 旅客分野の交通モード間の連携の視点に立った施策の事例及び課題

3.3.1 交通モード間の接続利便性確保施策

3.3.2 交通モード間の選択可能性確保策

3.4 貨物分野の交通モード間の連携の視点に立った施策の事例及び課題

3.4.1 交通モード間の接続利便性確保施策

 

 

 

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