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周辺諸国の領海等に対する主張

 

海上保安大学校教授 村上暦造

 

1. はじめに

 

本稿は、わが国周辺諸国の領海等に対する主張を概観するものであるが、その対象としてとりあげるのは、朝鮮半島からマラッカ海峡に至る東南アジア諸国である。とくに、朝鮮半島から南の東シナ海及び南シナ海の周辺諸国を取り上げて、それぞれの国が自国領海について、どのように領海基線を設定し、自国領海を主張しているのか、国内法ないし国家実行を中心に概観しておくことにする(1)。なお、領海については、無害通航権に対する態度及び接続水域の設定についても、同一の国内法等に規定されている例が多く、また群島については、インドネシアの群島水域航路帯の設定の動きが進行中であるため、あわせて触れておくことにしたい。

 

2. 各国の主張する領海及び群島水域

 

(1) 韓国(図1)韓国主張の領海基線

1977年領海法(1977年12月31日法律第3037号、1978年4月30日施行)により、領海基線に一部直線基線を導入するとともに、領海12カイリとした(同法第1条)(2)。ただし、国際航行に使用される大韓海峡(対馬西水道)については、領海幅を3カイリとして、同水道に公海(EEZ)部分を残すという措置をとった(領海法施行令第3条)。(図2)対馬海峡の領海基線

その後、1995年改正(1995年12月6日法律第4986号、1996年8月1日施行)(3)により、題名を「領海及び接続水域法」として、接続水域を設定したが、領海関係部分は改正されていない。韓国の設定した領海基線は、日本海側の東側海岸では、湾口を閉鎖する基線を除いて通常基線を採用し、南側海岸及び西側海岸では直線基線を引いている。直線基線の長さは、24カイリ以下が12本、24〜48カイリが5本、48カイリを超えるものが2本で、最長は60.3カイリといわれる(4)

 

 

 

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