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周辺諸国との新秩序形成に関する調査研究事業報告書 ?海上保安国際紛争事例の研究 第1号?

 事業名 周辺諸国との新秩序形成に関する調査研究
 団体名 海上保安協会 注目度注目度5


第二に、すでに述べたように、220条の規定は領海通航中の外国船舶が領海入域前に沿岸国の排他的経済水域において汚染防止関連の沿岸国法令に違反した排出を行った場合について、一定の要件を充たせば、沿岸国が当該船舶に対して執行管轄を行使することを認めている。すなわち1]沿岸国法令違反によって海洋環境に対して著しい損害を与えまたは与えるおそれがある実質的な排出が生じたと信じる「明白な理由」があり、かつ2]船舶が情報の提供を拒否し、あるいは船舶が提供する情報が明白な事実上の状態と明らかに相違している場合で、3]事件の状況のなかで正当と認められる場合には、物理的検査を行うことができ(220条5項)、またそれら沿岸国法令に違反する排出により、沿岸国の沿岸もしくは関係利益に対して、あるいは領海または排他的経済水域の資源に著しい損害をもたらし、またはもたらすおそれがある場合には、「事実が証拠によって裏付けられることを条件として」、沿岸国は船舶抑留を含む手続を開始することができると規定している。排他的経済水域を通航中の船舶についても同様である(220条3、5および6項)。ただしこれらの場合において、沿岸国を拘束するような担保金制度が国際法によって設定されている場合には、沿岸国は船舶の航行を認める義務を負う(220条6項)とすることによって、国際航行の利益への配慮を取り込んでいる。もっともこの場合でも、担保金の提供が拒絶される場合には、沿岸国がそれら国際法への義務違反として対抗措置をとり、当該船舶を抑留することは認められるであろう。

第三に、調査の結果、沿岸国法令または国際的規則および基準に対する違反が明らかになった場合には、担保金の提供または他の適当な金銭的保証など合理的な手続きに従うことを条件として速やかに釈放することが義務づけられる。条約の規定は釈放されるものを特定していないが、船舶および乗組員の双方に関する規定であることは、第15部の紛争解決の中の「船舶および乗組員の速やかな釈放(prompt release)」の手続きに関する規定(292条)からみても、また乗組員の配乗に関する実際上の要請からいっても明らかであろう。また乗組員については体罰が一般に禁止されているから、沿岸国も法の執行上、金銭上の保証が得られている限りで、不都合はないであろう。

 

 

 

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