2. いわゆる能登半島沖不審船事件について
(1) 不審船への海上保安庁の対応
平成12年4月15日付で海上保安庁が発表したところから引用すると、事件の概略は次の通りということである。
〔情報入手と巡視船艇航空機の集中配備〕
平成11年3月23日1100頃、海上自衛隊から「本日0925頃能登半島東方約25海里の領海内において、漁船2隻(そのうち不審船は第二大和丸と判明)を海上自衛隊の航空機が発見し、以後、護衛艦が確認している。」旨の情報を入手、1100第九管区に航空機による確認作業を指示。1230頃、先に情報のあった2隻のうち1隻は、船舶電話により現場に所在することが確認できたが、第二大和丸については兵庫県浜坂沖で操業していることを確認。1235第九管区及び関係管区本部に船艇・航空機出動指示。1300頃、海上自衛隊から「護衛艦がさらに1隻の不審な漁船(第一大西丸)を発見した。」旨の第2報を入手。以後、順次勢力を増強し、能登半島沖の現場海域等に巡視船艇計15隻及び航空機12機を集中配備。
〔第二大和丸への対応状況〕
1318〜1321現場に到着した当庁航空機により、第2大和丸に対し、停船命令実施。以後交代機により監視を継続。
1749巡視艇「はまゆき」が第2大和丸と約1000メートルに接近、停船命令実施。
1907第2大和丸は、高速で逃走開始。
2000巡視船「ちくぜん」が、20mm機銃による威嚇射撃実施(50発)。
2024巡視艇「はまゆき」が13mm機銃による威嚇射撃実施(第一回目100発)。
2101巡視艇「はまゆき」が13mm機銃による威嚇射撃実施(第二回目95発)。
2109巡視艇「はまゆき」が燃料不足となり追尾を断念、現場離脱。
2112第2大和丸は巡視船「ちくぜん」のレーダーから消滅、以後自衛艦からの位置情報により追尾継続。