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II. エンジン開発技術として

1]廃食用油にできるだけ手を加えることなく安価な燃料として使用できるエンジンの開発

2]廃食用油だけでなく通常の燃料もそのまま使用できる多燃料エンジンの開発

3]窒素酸化物や粒子状物質の生成が少ないクリーンな燃焼の実現

が必要不可欠である。特に、京都市が率先して実行している試みを全国的に進めるためには、上記要件を満たす技術開発を自動車メーカーや自治体等の単独の研究開発ではなく、両者の協力体制の下に開発を進める事が成功の要件である。

 

3. 研究開発の内容と実施計画

 

3-1. 研究開発の内容

1]廃食用油、植物油の燃焼に適した遮熱エンジンの燃焼システムの開発

従来、廃食用油や植物油は、ディーゼルエンジン用の燃料として用いようとする場合、軽油に比較して粘度が高いために燃料噴霧としての微粒化、燃焼室内への分散性、気化性が悪く、空気との混合が十分行えないので、メタノールと反応させて粘度の低いメチルエステルとし、燃料とする技術が開発されてきた。

本研究開発では遮熱により燃焼室の内壁面温度を高温にし、通常の冷却エンジンでは不可能な廃食用油、植物油の微粒化や気化混合を促進し、ディーゼルエンジンでの圧縮着火を実現する。点火補助装置を持たず、高い信頼性で扱いやすい低公害エンジンを開発する。その為、着火制御性の悪いと思われる廃食用油に的を絞り、確実に廃食用油を燃料として燃焼させる遮熱エンジンを試作する。

2]廃食用油、植物油を用いて低エミッション燃焼を実現する燃焼室の開発

高温の雰囲気下でディーゼル燃焼を行わせると窒素酸化物が増加する。従来の遮熱エンジンの開発では窒素酸化物の生成を如何に抑制するかが最大の技術課題であり、この問題を解決した例は未だ報告されていない。いすゞセラミックス研究所は独自の副燃焼室を開発し、窒素酸化物の生成を一般の冷却エンジン以下に抑えると共に、副燃焼室式エンジンの欠点であった燃費の悪化を直噴式燃焼方式並とすることに成功しており、この技術を基にして廃食用油、植物油を燃料として用いるために副燃焼室形状と主燃焼室形状の最適化、副燃焼室と主燃焼室を繋ぐ連絡孔形状の最適化、主燃焼室および副燃焼室の空気流動の最適化、排気ガス再循環システムの最適制御などを開発し目標値の達成を目指す。

 

 

 

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