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(10) 原則的に3時間おきに、航路に沿った気象・海象・氷況・表面海水の塩分濃度などの自然条件を観測した。時間をおっての塩分濃度の測定結果を、図5.14に示す。塩分濃度は、オホーツク海からベーリング海にかけては約32‰(‰はパーミル。3.2.3節参照)と通常の値であったが、本船が沿岸域を航行したチュクチ海から急激に下がり始め、東シベリア海においては最低2‰にまで低下した。その原因として氷の融解と河川からの真水の流出が考えられるが、後者が主原因であると思われる(3.3.2節)。これらの海域では塩分濃度が急変する箇所もあり(特に、チュクチ海と東シベリア海の間)、沿岸の複雑な海流と河川水との混合により乱流渦が多く形成されていることを物語っている。その後、本船が沿岸域から離れるにつれて塩分濃度が増加し、変化も少なくなった。塩分濃度と水温の関係を表すT-S diagram(海水温と塩分濃度の相関図。図5.15)において、海域の違いが明確に表された。

(11) 本実船航海試験の進捗と調査団の活動を記録した35分のビデオ番組を、日本語版と英語版の両者作成した。

 

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図5.14 表面海水の塩分濃度の変化

 

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図5.15 表面海水の塩分濃度と水温の関係

 

 

 

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