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NSR上における港湾に対する外国船の入港は、ロシア政府により制限されている。ロシア政府は、毎年始めに、"Notice to Mariners"の中で、その年に外国船に対して開放される港湾を発表する。例えば1997年の場合、これらの港湾は、イガルカ(Igarka)、ディクソン(Dikson)、チタン(Tiksi)及びペベク(Pevek)の4港湾であったが、翌1998年にはこれらにアムデルマ(Amderma)、ヤムブルグ(Yamburg)、デュディンカ(Dudinka)、カタンガ(Khatanga)、ゼレニー(Zelenyy Mys)、プロビデニヤ(Provideniya)を加えた10港湾となっている。これらの港湾が将来にわたって同様に開放されるのか、その他の港湾が開放の対象となることはあるのか等については、それぞれに対する国策的考慮により変化し予測が困難である。また、開放された港湾であっても必ずしも国際港湾としての要件を満足していない場合も考えられる。1998年に開放された10港湾の概要を以下に示す。

●アムデルマ(Amderma)

カラ海南部のユーゴルスキーシャール海峡近傍の港湾。碇泊地においてのみ揚荷が可能。空港、医療施設、郵便、電信・電話の設備がある。燃料その他の必要機材の補給は基本的には期待できない。

●ディクソン(Dikson)

カラ海南部のエニセイ湾近傍の港湾。入港可能な船舶の最大喫水は11mであり、港内に碇泊地がある。港湾の揚荷設備の最大載荷重量は8トン。清水の入手及び軽微な修理が可能。空港、医療施設がある他、救難及び無線設備の補修のための人員が配置されている。

●ヤムブルグ(Yamburg)

オビ湾内のNude-Mongotoepoka河口に最近建設された港湾。港湾までの水路の水深は5.5m。港湾内には浮きクレーン及び医療施設がある。

●デュディンカ(Dudinka)

エニセイ河口より231NM上流にある港湾。水深40mの碇泊地を有し、10隻までの船舶の同時碇泊が可能。ガントリークレーン、タグボート、修理施設があり、ダイバーの利用も可能。河川からの清水及び必要機材の入手が可能。ノリリスク(Norilsk)に空港、医療施設、郵便、電信・電話の設備がある。

●イガルカ(Igarka)

エニセイ河口より370NM上流にある港湾。描地の水深は10〜11mであり、ガントリークレーン及び浮きクレーンを有する。簡易な補修及び河川からの清水の入手が可能。医療及び郵便施設があり、1.5km離れて空港もある。

●カタンガ(Khatanga)

カタンガ河口より115海里上流にある港湾。Kathanga Hydrobaseによる水先案内がある。港内の水深は3.5〜8mであり、載荷重量3〜8トンのガントリークレーン、浮きクレーン及びタグボートを有する。簡易な補修のみ可能。医療、郵便及び空港施設がある。

●チクシ(Tiksi)

ラプテフ海南部のレナ河口にあるNSR上最大の港湾。港内の水深は5.4〜10mであり、荷重量25トンのガントリークレーンを有する。補修設備があり、燃料油及び各種必要機材の入手が可能。

 

 

 

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