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・船は荒天により運休があったが、陸路開通により天候に左右されなくなった。

 

◇地域経済

・企業の徳島支店が撤廃され、神戸支店に統合される例が見受けられる一方で、徳島から阪神圏に進出する企業も出てきている。京阪神へのタケノコの朝採り出荷など、新しい取り組みも行われている。

・地元の商店街売り上げの約2%が、関西へ流出している。店の人とのつながりを大事にする世代は地元の店を利用するが、若い世代は神戸で消費している。駅前の大型店舗や、神戸や大阪にアンテナショップを持ち、上質の顧客を抱えていた地元の店はやや厳しい状況。

・流通経路には、あまり変化はない。県産品の市場は、主に大阪と和歌山。特に和歌山方面へは、徳島港からのフェリーは道路利用と時間的に変わらずコストも安いことから、利用者が多い。明石海峡大橋の通行料金が高いことも一因と思われる。

 

■産業

◇農業

●鳴門市

・温暖な気候、肥沃な土壌に恵まれ、かんしょ(鳴門金時)、大根、れんこん、梨、らっきょうなど、需要に適合した収益性の高い作物の栽培で、安定した経営を続けている。

・かんしょは海岸近くの砂地で栽培。全国上位クラスの収益がある。端境期に大根、ラッキョウなどを栽培している。

●松茂町

・かつてはほとんどが水田だった。現在は、塩に強い作物としてレンコンや砂に適したさつまいもを栽培。裏作として、大根。また梨も栽培。面積当たりの収益性が高い(約50〜100万円/1反)

・後継者不足で全産業に対する割合が減りつつある。

●徳島市

・肥沃な土地、温暖な気候など自然条件を生かした米、野菜、果樹、花卉、畜産による周年生産と複合経営で発展している。農産物については、古くから県内はもとより京阪神等への供給基地として位置づけられており、平成9年度の農業生産額は約188億円で、全国でも有数の農業生産地である。

・川内町では金時いも、れんこん。沖洲では細ねぎを1年中栽培しており、関西ではブランドにもなっている。

・内陸部では、ほうれん草、人参、トマトなど。

 

◇漁業

●県全体

・漁業就労者…県内の漁業就労者は産業全体の1.2%、生産額は0.6%。

・現状…遠洋漁業より、沿岸や沖合いでの小型漁業や養殖業が多い。養殖業の8%が播磨灘で行われている。全般的に経営規模は小さい。就業者の高齢化と後継者不足、漁場の劣化などから、生産量は毎年少しずつ減少している。平成9年の生産量は約4万3千トン。ほとんどが阪神市場に出荷される。

・課題…バブル崩壊後、高級魚が値下がりしている。徳島ブランドとしての信用の徹底をはかるため、漁協が品質の維持を厳しく指導している。水温上昇の影響で磯枯れ現象が続き、アワビ、サザエなどの収穫量が伸びない。観光漁業ができれば、活性化の可能性がある。

・漁協の朝市…県内各地の漁協で月一回程度、休業日である土曜日の朝、各地の漁協で朝市が行われている。駐車場がなく漁獲量も少ないので、地域の人が対象。

●鳴門市

・播磨灘、小鳴門海峡、紀伊水道という漁業環境の異なる3漁場を中心に、養殖漁業、一本釣り漁業、小型底びき網漁業、定置網漁業など多様な漁業経営が行われている。

・鳴門ワカメや鳴門鯛は、全国に知られる特産品。

・北灘はハマチの養殖が盛んで、県下で最も漁獲量が多い。

・漁協の活動…北泊漁協青壮年部が産直市「快てきペンギン村」を開催。粟田でも月2回産直市を開いている。

●松茂町

・魚類ではイカナゴ、イワシ、シラス、貝類ではバ力貝などが穫れる。漁港には市場はない。水揚げされた片口イワシの雑魚は煮て天日干しにされ「ちりめんじゃこ」として出荷。

・平成9年の総陸揚量は2,582トン。海苔の養殖が盛ん。特に徳島空港滑走路先端付近は水深が約10mと浅く、水質も適している(一事業者あたり約3千万円の陸揚げ)。

●徳島市

・沿岸漁業と内水面漁業に大別される。沿岸漁業では、紀伊水道における漁船漁業と浅海(一部内水面)における海苔養殖漁業等である。

・漁船漁業は、紀伊水道を主漁場として、エビ、ヒラメ、カニ等の底ものを対象とした小型機船底びき網と、イワシ、アジ、サバ等の浮魚を対象とした機船船びき網が主な漁業で、その他に一本釣り等も行っている。

・海苔養殖業は、海面での黒海苔と、吉野川、勝浦川河口でのスジ青海苔があり、いずれも養殖技術の向上と経営の近代化を図っている。

・内水面漁業は、吉野川、勝浦川でのシジミ、アサリ等の採貝が中心であり、稚貝の放流等、資源の増殖に努めている。

 

◇工業

●鳴門市

・製塩産業から発展した医薬品などの化学工業(大塚製薬など)、足袋工業から発達した繊維製造業を中心として、飲料、食糧、紙加工品製造業等の多様な業種がある。

 

 

 

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