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何れにしても、具体的な補償の範囲は、当事者間の話し合い等民事上の手続により決定されます。

 

油濁損害賠償保障とは?

油濁損害賠償保障法は、「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約」及び「油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約」を国内法制化するために、1975年(昭和50年)に制定された法律です。

この法律は、船舶に搭載されていた油によって油濁損害が生じた場合における船舶所有者の責任を明確にし、及び油濁損害の賠償を補償する制度を確立することにより、被害者の保護を図り、あわせて船舶による油の海上輸送の健全な発達に資することを目的としています。

 

5. 漁業損害には何が含まれるのか?

油汚染により漁ができなかったことによる収入減について、過去数年間の収入実績を参考にして補償され得ますが、損害と油の汚染との間に相当の因果関係があること、損害が実際に発生したこと等の要件を満たすことが求められます。具体的な補償の範囲については、当事者間の話し合い等民事上の手続により決定されます。

 

6. 旅館、ホテルの損害とは何か?

海岸に油が流れ着いた結果、景観が損なわれたり、油の悪臭が漂うこと等により、宿泊者数等が減少した旅館、ホテル等の損害について補償の対象となり得ますが、損害と油の汚染との間に相当因果関係があること、証拠により証明できる損害であること等の要件を満たすことが求められます。具体的な補償の範囲については、当事者間の話し合い等民事上の手続により決定されます。

 

7. 補償の限度額はいくらか。また、損害額がこれを上回った場合はどうなるのか?

補償限度額は国際基金条約により定められており、1億3,500万SDRです。

SDRというのは国際通貨基金協定に定める特別引出権であり、日々変動していますが、1997年(平成9年)1月現在で約167円です。これにより日本円に換算すると補償限度額は約225億円となります。

民事上の手続により確定した損害額が、この225億円を超えた場合には、その超えた割合に応じて、各請求者は平等に按分配当されます。例えば、損害額が450億円だと仮定した場合、各請求者は国際基金との間で確定した債権額の50%ずつ均等に支払いを受けることとなります。

 

 

 

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