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8. 船主の故意・過失の有無は補償に影響を与えるのか?

条約によれば、油濁損害が船主の故意又は過失により生じたものである場合には、船主は油濁賠償責任を制限することができなくなります。このため、この場合には、全ての油濁損害について船主は賠償する責任が生じます。

なお、船主の故意又は過失の有無の確定には一般に時間がかかるものであることから、故意又は過失の有無が確定しない間であっても、国際油濁補償基金からの補償が行われることが多く、ナホトカ号の場合も早期の補償がなされる見込みです。

その後、仮に民事上の手続により故意又は過失が認定された場合でも、国際油濁補償基金は既補償額について船主に請求していくことになります。

 

9. 手続はどのように進んでいくのか?

油濁損害に対する補償は、民事上の手続によりなされるものであり、一般的には被害者と船主(保険会社)、国際基金との話し合いにより解決されています。

被害者が損害賠償請求した損害について、船主(保険会社)からの賠償及び国際基金からの補償がなされ得るものですが、示談が整わない場合には裁判上の手続となる場合もあります。具体的には、まず初めに被害者は損害状況の把握を行い、その損害について船主(保険会社)及び国際油濁補償基金の双方に請求していく必要があり、そこから話し合い等民事上の手続が進行し、その結果として賠償、補償がなされるのが通常です。

 

10. いつまで請求はできるのか?

船主及び国際油濁補償基金に対する損害賠償及び補償の請求権は、油濁損害が生じた日から3年以内に裁判上の請求がなされないとき、又は油濁損害の原因となった最初の事実が生じた日(事故発生日)から6年以内に裁判上の請求がなされないときは消滅します。

 

11. 過去にどのような事故に対して補償がなされたか?

条約締約国各国で生じた油濁損害に対し、国際基金からの補償がなされています。主な例として、具体的には次の表のとおりです。

 

 

 

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