3. どのような損害に補償はなされるのか?
タンカー等の船舶から流出し、又は排出された油による汚染により生ずる損害に対して補償されます。具体的には、油の防除・清掃費用、漁業損害、旅館・ホテル等の被害等の損害が補償され得ます。
国際油濁補償基金が補償する損害等の範囲
次の基準はあくまでも原則であって、ある損害や費用について補償が認められるかどうかは、当事者間の交渉で決まるものであり、決まらない場合には最終的に国内の裁判所が決定する。
(1) 一般基準
・費用・損失は実際に発生したもの
・費用は適切な範囲
・油の汚染と損害・費用との間に相当因果関係があること
・金銭的に計算できる損失
・証拠により証明できるもの
(2) 主な例
1]油の防除、清掃費用
・人件費
・資機材の費用(残存価格は除く。)
・防除等の措置は合理的なものに限る(費用と効果との関係)
2]調査・研究費
油流出の対応策、損害の程度を調べるためのもの
3]漁業被害、旅館・ホテルの損害等
・収入の減少(漁ができなかったための収入減、ホテル・レストランの客の減少;過去の数年間の収入実績を参考として収入減を補償)
・収入減を防止するための費用(風評被害を防止するためのキャンペーン費用)
4]請求の提出のための顧問料
弁護士費用等(妥当な範囲に限る。)
5]環境復元費用
適切な費用は認められるが、過去認められた事例はない。
4. 補償対象となる油の防除・清掃費用とはどんなものか?
油回収のために運航された船舶の運航費、オイルフェンスの展張費用、散布した油処理剤の費用、清掃作業に参加した人の人件費、清掃作業を行うための機材購入(貸借)費用、回収した油の処理費用等が対象となることが考えられます。
実際に補償を受けるためには、防除・清掃の措置が必要かつ合理的であるものであることが要求され、効果と比べて過大な費用を要した措置等については、補償交渉において問題になる可能性が高いといえます。