(付録3)
油濁損害賠償制度について
1. 油濁損害賠償保障制度とは?
タンカーから油が流れ出したこと等により発生した汚染による損害の賠償を保障する制度です。この制度は、国際的な条約に基づき、油濁損害賠償保障法により国内法化されています。
(1) 油濁損害賠償保障制度の概要
・船舶所有者は、原則として無過失責任を負う。
・船舶所有者は、船舶の大きさ等により、一定金額を限度としてその賠償責任を制限することができる。
・船舶所有者は、責任限度額をカバーする保障契約の締結を義務づけられている。国際油濁補償基金から一定金額を限度として保障を受けられる。
(2) 油濁2条約の概要
1] 油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(油濁民事責任条約・CLC条約)(1969年)
ア 概要
(ア) 船舶所有者は、タンカーの事故により排出した油によって生じた全ての汚染損害について無過失責任を負うとともに、その責任を一定の額に制限できる。
(イ) 2,000トン以上の油を輸送するタンカーの所有者は、上記の責任を担保するため、責任保険契約の締結を義務づけられている。
イ 発効年月日
1975年(昭和50年)6月19日
ウ 締約状況(1996年(平成8年)11月)
96カ国
リベリア、フランス、スウェーデン、英国、ノルウェー、ドイツ、ロシア連邦等
エ 我が国の締結
1976年(昭和51年)6月3日
油濁損害賠償保障法(昭和50年法律第95号)
2]油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(国際基金条約・FC条約)(1971年)
ア 概要
油濁民事責任条約に基づく制限のもとで、船舶所有者から十分な賠償責任を受けられない油濁事故の被害者に対して一定の額までの保障を行うとともに、船舶所有者に対してその負担を制限するための補填を行うための国際基金を設立する。