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2. 油処理剤の組成と品質基準

 

(1) 油処理剤の組成

現在、世界的には次の3種類の油処理剤が市販されているが、我が国では通常型油処理剤しか市販されていない(濃縮型の名称で市販されているものもあるが、これは通常型を改良したものであり、ここでの分類では通常型(高濃度型)油処理剤である。)。

1]通常型油処理剤

非イオン系界面活性剤を炭化水素溶剤に溶かしたものである。普通、希釈することなく使用される。

2]濃縮型油処理剤

通常型の製品に対して薬剤含有量が多く、一般に、油の分散効果が大きい。通常、散布に当たっては、あらかじめ油処理剤1:海水10の割合で希釈される。

3]自己攪拌型(セルフミキシング)油処理剤

航空機からの散布を行う油処理剤である。

 

(2) 油処理剤の品質基準

油処理剤に要求される最低限度の品質基準は、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行規則第33条の2(備付基準)及び第37条の8(使用基準)により、次のように定められている。

1]引火点

61℃を超えるものであること(非危険物)。

2]粘度

通常の散布装置で散布できるように、動粘度が50cSt(30℃)以下であること。

3]乳化率

流出油を処理する能力を示すものであり、B重油を用いた試験で、静置試験開始30秒後で60%以上、同10分後で20%以上であること。

4]生分解度

界面活性剤が水中の微生物により分解される度合いであり、試験後7日目と8日目の値の平均値が90%以上であること。

5]対生物毒性

急性毒物質の含まれている溶液中で魚類を24時間飼育し、50%が生存を続ける溶液の濃度をppmで表わしたものであり、ヒメダカで3,000ppm以上であること。

また、珪藻類に属するプランクトンの1種で、油処理剤の濃度が100ppmの溶液で1週間培養して、死滅しないことが要求されている。

6]その他

油処理剤により処理された油が微粒子となって海中に分散するものであり、海底に沈降しないものであること。

 

 

 

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