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(付録2)

油処理剤による最適防除手法に関する調査研究 (抜粋)

 

油処理剤の最適防除手法については、日本財団から事業補助を受け平成3年度から3カ年計画で調査研究し、その成果は「平成5年度海上防災の調査研究報告書(油処理剤による最適防除手法に関する調査研究)」としてとりまとめました。

ここでは、その調査研究の中から「油処理剤の使用マニュアル」を抜粋するとともに、日本財団から事業補助を受け平成6年度から3カ年計画で研究開発し、実用化した「新型油処理剤」の概要及びナホトカ号事故時における新型油処理剤の有効性テストについて記載します。

 

1. 油処理剤の経緯

 

油処理剤は、1960年代に欧米で登場し、我が国でもいくつかの国産品が出回ったが、性能上問題も多く、製造側、使用側も使用目的が明確でない点があった。

1967年3月、英国南部海岸で発生した「トリー・キャニオン」号のクウエート原油流出事故では大量の油処理剤が使用されたが、突発事故のこともあって不適切な洗浄剤等も大量に使われ、海鳥やその他の水産生物へ多くの被害を与えた。

我が国でも、1971年(昭和46年)11月、新潟港外で発生した「ジュリアナ」号のオマーン原油流出事故でも、毒性の強い油処理剤が使用され、水産関係者をはじめとして地域社会全般に大きな衝撃を与えた。折りからの荒天でオイルフェンスも使えず、油回収は不可能であり、残された油防除の手段は油処理剤の散布のみという事情があったにせよ、水産生物に対する影響が大きく社会的関心を呼んだ。

この事故が契機となって、1971年12月、政府は化学品についての管理取締体制の点検及び整備のため必要な措置をとることとし、油処理剤については、運輸省を中心に関係省庁が、「タンカー事故による油汚染の緊急処理対策に関する特別研究委員会」を設置して研究が進められ、その結果を踏まえて、1973年(昭和48年)2月、運輸省から「流出油処理剤の使用基準」について通達が出され、一定の規格品の使用が求められることとなった。1974年(昭和49年)7月には、海洋汚染防止法の一部改正等の施行により、一定の基準に適合するものを排出油防除のための資材として備え付けることが法的に義務付けられ、また、型式承認を受けることができるとされた。1983年(昭和58年)10月からは、海洋汚染防止条約の批准に伴う海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部改正等の施行により、薬剤については、一定の基準に適合するものでなければ使用してはならないことが法的に義務付けされた。

 

 

 

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