4. ナホトカ号事故の概要
(1) 初期対応
1997年(平成9年)1月2日午前2時50分頃、日本海で発生したロシア籍タンカー「ナホトカ」号(13,175総トン)の船体折損による大規模油流出事故は、翌1月3日折損した船首部分及び海上に大量の油の漂流が、海上保安庁の航空機及び巡視船により確認された。
船舶所有者からの要請を受けたサルベージ船は、1月4日午後9時30分現場海域に到着し、巡視船の支援を受けながら漂流中の船首部分の曳航を試みたが、船底を上にして海面からわずかに露出した状態で漂流しており、また海上荒天のため曳航索をとることができなかった。
船首部分とともに漂流する油は、1月5日午前中には福井県三国沖約40マイルにあって、北寄りの風によって圧流され、沿岸に接近する可能性が生じてきた。
巡視船等は、船首部分の曳航作業と併行して漂流油塊の防除作業を実施し、初期においては、回収ネットによる回収、油処理剤の散布、また1月5日にはヘリコプターによる油処理剤空中散布テストを行った。