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V. 流出油の識別

 

海上に流出した油は、自重力、粘性力、表面張力等により、拡散し薄い油膜状となる。この場合油膜の色相によって油量を推定する方法として、表V−1のような基準が示されている。

 

表V−1 油膜の外見による油膜の厚さ・油の量

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(Oil Spill Manualより)

 

VI. 流出油防除作業の概要

 

1. 流出油防除の基本的な考え方

海洋に流出した油による影響は、時間の経過、油種、油量、海域、海象等の多くの要素によって決まる。発生場所が港内や養殖漁場等の閉鎖海域であると、油種、油量の如何に拘わらず深刻となることが多い。

外洋で発生し沿岸漂着の恐れが全くないときは、被害は少なく監視しつつ自然浄化を待つこともある。防除活動は流出した油の影響を局限し、かつ作業が安全に実施されなければならない。そのためには、次の項目に留意しなければならない。

 

(1) 防除処理方針の決定

我が国では、「流出した油はオイルフェンスを積極的に活用して48時間以内に機械的な方法で80%を回収し、残りの20%は、油処理剤、油吸着材等により処理する」という考え方が従来東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海全域及び国家石油備蓄基地に対して指導されており、この考え方をもとに防除資機材の整備が行われている。

これは、「海洋汚染防止及び海上災害の防止に関する法律」第43条の2排出油防除計画の中で取り上げられている。

海上に流出した油は、物理的に海上から除去することが最良であり、そのためには、上記の資機材整備方針による回収を主体とする防除処理方針決定の検討を進めることがのぞましい。しかし、流出後の油は、蒸発、分散等の風化作用によってその性状は変化しており、また気象、海象により汚染範囲も変化するので、油の性状に応じた防除処理方針を決定しなければならない。

 

 

 

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