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国際通航に使用されている海峡(以下、国際海峡という)における通過通行権は領海の通航、及びその上空の飛行に係わる問題の解決を狙った、或る種の統合的な規定である。もしも全ての領海幅が12マイルに固定されたならば、幅24マイル以内の国際海峡を通航する外国船舶は全て無害通航の要領で通航しなければならない上に、外国航空機のその上空飛行には沿岸国の同意が必要となる。3マイル領海説は、仮に24マイルの幅しかない海峡においても、領海幅が3マイルであれば、未だ18マイルの公海部分が残ることとなり、その海域においては公海航行の自由が保障されると主張した。また実際に、多くの国際海峡の幅は24マイル以下である。

 

技術的な観点からは、第三次海洋法会議の代表団は新たに通過通航制度というものを案出した。しかしながら、通過通航は、グロチウスの言う航行の自由の再宣言であるとも言える。もしも通過通航制度がなければ、国際海峡の通行は、課税、および通航船舶に対する船種別規制の実施という沿岸国の権利が及ぶこととなる。このような権利を行使するために、覇権的な国は軍艦を使用することすら十分に考えられるが、船舶及び航空機の自由な通航は世界貿易から利益を蒙る国全てに多大の影響を与えるものであり、換言すれば、この自由な航行は最も効率的であると言える。殆どの国にとって、通過通航は、たとえ或る国が軍艦の通行の制限を課したとしても、多大な利益をもたらしたのである。

 

 

 

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