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殆どの国は、統一された12マイル領海幅を主張した。その他の海洋利用者は統一的ではあるが柔軟性のある領海幅を主張した。200マイルの領海を主張しなかった国の大部分の国が望んだものは後者であり、条約案では沿岸国の権利と沿岸国以外の利用者の権利は慎重に明記され、これは第三次海洋法会議で達成されたのである。それは、沿岸国の資源保有のための権利がEEZへとシフトされたからである。沿岸国にとっては、もはや領海及び接続水域は生物及び非生物資源を管理するための排他的な法的メカニズムとして使用する必要がなくなったのである。領海は、引き続き沿岸国の絶対的な主権の及ぶ海域ではあるが、その重要性は以前ほどではなくなった。

 

領海幅を12マイルにするという考え方は、領海幅を世界中で統一するに役立った筈である。領海幅12マイルは、明快な基準である。それまでの伝統的な狭い領海幅の主張は今日的な意味合いがないという理由により退けられた。12マイルよりも広い幅の領海を主張している国々が、今後巻き返しを図り、12マイルを主張する国々を数値の上で圧倒する可能性はない。第三次国連海洋法会議が、排他的経済水域の幅を200マイルに設定したように、他の水域の幅の設定に成功するならば、12マイルよりも広い領海を主張している国々が、見通し得る将来に領海幅の拡大を求めて急に行動を起こすこともないであろう。領海12マイルという統一基準を受け入れない国々については、国際的に孤立しているとすら見なされる可能性がある。

 

国連海洋法条約のもう一つの成果は、基線から12マイル以内での沿岸国及び外国の通航船舶の規則、権利、及び義務を明確化したことである。沿岸国は自国の主権を行使でき、一方で、外国の船舶は無害通航権を有する19。沿岸国が無害でない通航であると判断することができる行為は、第19条及び第20条に記載されており、沿岸国が自国の都合によって通航を停止することはできない。第19条に掲げるリストは、通航船舶が行なってはならない行為を列挙している。これを要するに、難解かつ重要な問題が国連海洋法条約により解決されたと言ってもよく、沿岸国及び通航船舶双方の権利をよく調和して決定された統一的な領海幅は、紛争を減少させる一要因となっている。

 

 

 

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