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これとやや似た分類検索型発想は、互いの相関を何らかの基準にとって数値的に求め、その関連性の強弱で最終項の配置が決められる。分岐分類法(クラディスティックス)がその典型である。

以上述べてきた様々な“整理法”は、いずれにせよ二次元で表記されるくくり方を手法としていることに注目してみよう。もし区別や共通性を数多く採用したとすると、座標軸が錯綜し、表現できなくなるという不便が生じることは確実である。そうした意味で、本質的に複雑性の高い、いわば乱雑にも映る事物分布がある局面では、互いの関係はおろか体系的な検索は望めないということになる。

本事業でとり上げた立体目次という概念と手法は、こうした不便を解消する一つの方策として、事項群を三次元の点群としてコンピュータの虚空間に配し、コンピュータグラフィクス技法により、関連する点群をシナプスと呼ぶ連結糸で結び、親近性を表わすことにしたものである。

点群配置の前処理として球空間に直交座標を置いて球に8つの象限をつくり、適宜8つの大分類で粗くくくっておく便法を導入してある。また、学問分野整理を主題としたので、分野点を配する内球、関連事項例を並べた外球(都合により多重球に拡大できる)とに亜区分する工夫も加えてある。

このような立体目次の構造は、当該学問の広がりが、学際的分野展開という“発散”的状況下に置かれてしまった今日、それを、たとえ恣意的な筋書きであったとしても、切り口でとり敢えず点群化─シナプス操作を適用することにより、全体の構図が見えてくるという大きなメリットが生まれる。

上記の趣旨からすれば、分野球(分野グローブ)や事項球(アイテムグローブ)のとり方やシナプスの帖り方には任意性が認められるので、人によって、あるいは立場によってややニュアンスの異なるグローブ表現が可能である、という特性を持つことにもなる。

このような立体目次の持つ表現力を活用することにより研究者がもつその研究分野に対する整理・概観能力を個別に知ることもでき、一種の研究への理解の判断材料にもなる。また研究分野でなく、一般的事項についても十分適用できる“整理法”としての応用範囲は広い。

 

 

 

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