日本財団 図書館


1-4 構成

 

3ヶ年の成果は多岐にわたるが、全体像の中で主要な位置を占める局面とそれに含まれる新規性の高い事項をシステマティックに見て頂けるよう、全体を5章にくくり、その後は必要なサブアイテムに分けて解説した。要約を兼ねてそのコンテンツのアウトラインを紹介しておく。

第1章では、社会的背景を記すとともに目的・経緯・構成など本事業で行なった調査・研究の概要を簡略に記した。

第2章では、本事業のべースとなる学界諸分野の特性を大づかみしていただくために、基礎調査各論として、本プロジェクトを推進した委員会メンバーを中心に、13名の研究者が各専門領域とその周辺事情を総説的に24篇の論述としてまとめてある。その内容は大きく“科学分野の歴史と現状”(5篇)、“海洋科学の諸局面”(9篇)ならびに“総合的海洋科学の視座”(10篇)とに分けられる。

海洋科学は、言うまでもなく地球科学と同じく典型的に複雑な関連を含む多数分野を持つ超領域科学であるから、必然として論述の内容は極めて多彩であることが示されている。

第3章は、分野整理学の新たな手段として開発してきた、海洋科学関連分野についての立体目次の考え方、作成の具体的な作業過程、特性、応用局面等を主題としている。

第4章は、超領域科学としての海洋科学について、いくつかの事例を示すものである。海洋資源の新たな視点での取り組み、国内外における海洋教育の実態、海岸保全のもつ多局面性等が取り上げられた。

立体目次という考え方と手法は、当然海洋科学分野に限られることなく、科学分野一般や事象の整理学にも拡張・適用が可能であるので、その事例として総合的科学研究の方向を示すため、自然史科学と日本の博物館のアイテム整理を扱ってみた。

第5章は、本事業により示された、複雑系を構成するアイテム整理学の手法としての立体目次の応用展開事例を扱うものである。教育・学会発表での有効性をモデルタイプ、実例などについて記した。

立体目次は3DCGによる可視化動画像として最も効果を挙げることができるのであるから、この方法の普及のため、手法と事例を含む解説用CD-ROMを作成したので、その意義について述べ、さらに今後多くの局面で期待される機能の充実や解析実例の増加、あるいは情報量の多いケースヘの対応策等について予測を行なっている。

以上のように、本報告書は、学術論文プロパーではないが、その内容は学術研究に貢献するところが大きいと見込まれるので、通例の報告書と比してやや固苦しい構成をとって、事業推進の基盤、学術的広がり、目的、手法、事例、成果と予測などを、各種資料を付して公開するものである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION