日本財団 図書館


2-2. 海洋学および海洋科学に関する国際セミナー

日本海洋データセンター(JODC)が主体となって計画が立てられた、IOC(ユネスコ政府間海洋学委員会)の西太平洋海域(WESTPAC)の国際海洋データ情報交換計画(IODE)の国際会議(ICIWP'99)が、ランカウイ(マレーシア)のぺランギ・ビーチ・ホテルで1999年11月1日〜4日に開かれた。参加国には多くの開発途上国が含まれていることから、MIRCではその普及啓蒙活動および国際協力の一環として、その中で開催された「海洋学および海洋科学に関する国際セミナー」(11月1〜2日)を中心に、積極的な貢献を行った。会議の後半の2日は、IODE/IOCの公式会合「WESTPAC地域におけるIODE活動についての公式的なワークショップ」にあてられた。

会議は、マレーシアIOC委員会委員長Mohd Rasip bin Hassan博士の歓迎の辞から始まり、WESTPACの地域コーディネーターであるJODCの長井俊夫所長から会議準備の経緯の説明と祝辞、IOCの事務局次長Iouri Oliunine博士の祝辞と続き、最後にマレーシア・ケダ州のSeri Sanusibin Junid知事の開会宣言で始められた。会議への参加国数は14、参加者は約150人と盛会であった。シンポジウムは2会場に分かれて、(1)沿岸環境とデータ、(2)データ管理と技術、(3)生物資源とデータ、(4)気候変動問題とデータ、(5)海洋汚染とデータの5つのセッションがもたれた。MIRCはこのシンポジウムに3人のキーノート講演者、米国のWarren B.White博士(演題は、数年から数十年の時間規模にわたる、世界規模・局地規模の気候変動)、IODEの議長でもあるオーストラリア海洋データセンターのBen Searle氏(演題は、海洋データ管理における技術的発展について)、およびフィリッピン大学のGil S.Jacinto博士(演題は、海洋汚染関するデータと情報の交換について)を招聘した。MIRCからは、鈴木亨と永田豊の2人が、それぞれMIRCが開発した新しい品質管理ソフトウエアの紹介と、そこで使用されるべきパラメータと局地的な海洋特性の関連について紹介・発表を行った(永田の発表は都合によりワークショップの中で行われた)。また、永田は1つのセッションの議長を勤めるとともに、海洋物理学研究者としてシンポジウム締めくくりのパネル・ディスカッションのパネリストを勤めた(Rasip博士が司会、パネリストは他にSearle氏、Jacinto博士、Hadibah Ismail博士(Malaysia)、寺崎誠博士(Japan)、およびOliounine博士)。

後半のワークショップは、Oliunine博士とSearle氏の司会で進められた。米国NODCのFrey博士、JODCの長井氏および永田博士の講演はここで行われた。MIRCとしては、開発した品質管理ソフトの英語版の各国海洋データセンター等への提供を約束するとともに、MIRC独自で開発途上国のデータセンターに専門家を派遣することによって、IODEのこの地域での活動を支援する計画を表明するなど、積極的に議論に参加した。ワークショップついての正式報告はIOCから出される予定であるので、ここでは省略する。我々は、この機会に、MIRCの開発したソフトの実演を始め、種々のパンフレットやニュースレター出版物を紹介した。また、各国の海洋データ管理の専門家と情報の交換をおこない、相互理解を深めるとともに、将来の強力について話し合うことができた。

会議場にあてられたペランギ・ビーチ・リゾートは、観光地のペランギ島でも有数のホテルで、まだ雨季が終わっておらずしょっちゅう雨に見舞われたが、大いに南洋生活を楽しむことができた。また、プールサイドや海岸で毎夜のように開かれたパーティも華やかで、参加者の親睦と相互理解を増進することができたのも、大きな成果であった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION