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国際活動

 

MIRCの活動の1つの柱は、海洋データ・情報に関する諸問題における国際協力におかれている。国際活動に関連する事項は後掲の「MIRCの歩み」にもリストアップしてあるが、主要なものについてここで説明を加えておく。

 

1. 米国国立地球物理学センター(NGDC)主任研究員David L.Divins博士招聘

海底地形データの品質管理およびデータセット設計・作成、衛星高度計観測の海底地形への応用に関連して、国際的に先進的なNGDCの専門家David L.Divins博士を、2月27日〜3月5日の間招聘し、情報・意見の交換を行った。また、この機会を利用して、3月3日午後に、水路部で「海洋データ管理国際ワークショップ」を開催し。発表は.Divins博士が「NGDCの活動状況とCRM(Coastal Relief Model)の開発」、「衛星高度計の海底地形計測への応用」の2題を、水路部の桂忠彦博士の「日本における大陸棚調査から得られた海洋データ」、および海洋情報研究センターの鈴木亨博士の「マルティビーム測量データに対する品質管理ソフトウエア」の4つであった。MIRCでは水深情報に関する業務を開始したときでもあり、非常に有益な示唆が得られた。

 

2. 国際GODARレビュー会議

GODAR(Global Oceanographic Data Archeology and Rescue)はIOCが1993年に発足させたプロジェクトである。今回の会議はWDC-A(世界データセンターA)がWorld Ocean Atlas98を完成させたのを機会に、今後のGODARの進め方を検討するために開かれたものであり、7月12〜15日の間、シルバースプリング(米国)で開催された。現状においても、公開されないまま放置されているデータは数多く存在し、これを発掘・救済するのは、今後の海洋研究・気候変動研究のために、非常に重要である。MIRCとしても世界の海洋データ収集状況、今後の動きを把握することが重要であるので、鈴木亨が出席し、MIRCがJODCや東北区水産研究所等と連携して行っている都道府県水産試験研究機関の海洋観測データ、亜寒帯域での動物プランクトンデータの品質管理・収集作業について紹介した。世界的には、GODARの活動により、従来非公開であったロシア海軍のデータを大量に公開することに成功していることなどが注目される。

 

3. IUGG総会

IUGG(Intenational Union on Geodesy and Geophysics:国際測地学・地球物理学連合)総会は、4年に1回開かれるもので、海洋物理学を含む地球物理学全般にわたる総合的な会議で、世界の研究動向を知るのに重要な会議である。今回の総会IUGG99は、7月19〜30日に、バーミンガム(連合王国)で開始された。MIRCでは、鈴木亨・小熊幸子を派遣して、その付属する協会の1つであるIAPSO(International Association of Physical Sciences of the Ocean:国際海洋科学協会)のセッションに出席し、情報収集をはかるとともに、1件の研究発表を行った。またこの機会に開かれた津波研究グループが中心となって開かれた海底地形と海岸形状に関するデータ管理のワークショップに出席し、ここでも1件の研究発表を行った。

 

 

 

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