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5) 看護における倫理

看護の目的は、健康増進、疾病予防、健康回復、苦痛の軽減(安らかな死への援助)であり、その目的をはたすために、看護婦は対象の看護上のニーズを把握し、どの個人に対しても人間として尊重し、差別することなく、適切に看護を提供しなければならない。

基本原則のなかで最も重視されているのは“人間を尊重する”ということで、自律、善行、無害、正義、真実、忠誠の6つの原則があげられている。また、終末期医療における課題として、ケアに関わるものが大きな位置を占めており、ケアリングの5つのCをあげており、思いやり・能力・信頼・良心・コミットメントである。意志決定のプロセスの演習では、VTRを見ながら分析、統合、評価を行っていったが、倫理的に伝えることの難しさを感じた。

私はこの講義を聞くまで、自分の病院では倫理委員会を行っているくらいにしか考えたことがなかった。倫理的、感性を鋭く……そのためには学習が必要であり、アイデンティティをしっかりと持たなければいけないと感じた。

 

6) コミュニケーション

コミュニケーションは私の中で最も苦手な部分でもあり、自分にとって最も努力しなければならないところなので、この講義はとても興味があった。

特に模擬患者によるコミュニケーション・セミナーでは、現実に近いというリアリティが重視されていた。セッション終了後に模擬患者から患者の視点でのフィードバックが得られるので、間接的に患者側の視点を学ぶことができた。

ロールプレイでも、思った以上にリアリティがあったと思う。患者、看護婦、オブザーバーの立場になり、自己認識を知ることができた。看護婦は沈黙のスペースをつくらない、沈黙は医療者にとって耐えられないということを自分で身をもって感じた。コミュニケーション・スキルの基本である傾聴、Open Questionで説明モデルを頭に一歩踏み込んで聞く。共感、オウム返しを基本とし、開かれた共感をすること。Open the doorテクニックを自分の中で意識しながら実践し、訓練していく必要があると感じた。

 

7) スピリチュアルペイン

スピリチュアルペインについては、言葉もはじめてで知らなかったが、一般病棟でも一緒に共有できるスピリチュアルペインの話をチャプレンから聞くことで理解できた。死のユーモアの話は、私のなかでとても心の中に残っている。

スピリチュアルペインは宗教的なものではない。ターミナルの患者は生と死がドッキングしており、その人がその人らしく生ききること、つまり、情緒を助け、共感することである。

スピリチュアルニーズとは、患者及び家族の最後に望むこと“私を一番大事にして下さい”、最後に、家族は“私の家族を大事にしてくれてありがとう”という気持ちを病院に評価するということであり、観音様の微笑みを目標に取り組みたいと思う。

 

おわりに

 

すべての関係は相手を理解することから始まる。患者・家族の話には理解し難いこともある。しかし、相手のこれまでの生活の仕方、家族の背景を考えると理解できることがある。相手の話をそのまま聴くことで理解できるようになると思う。そうすることが患者・家族の考えや気持ちにそったケアにつながる。

思い込みの看護をしないように傾聴、共感し、ねぎらうことを行っていきたい。そして、ユーモアのセンスを磨いていきたい。

 

 

 

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