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2) 症状コントロール

症状コントロールについては、講義では身体的、精神的、社会的、霊的な側面における症状コントロールについて学びました。これらは複雑に絡み合っており、全人的に患者さんを捉えることの必要性を実感しました。実習で症状がコントロールされた患者さんが、本来の姿と生きていく希望を取り戻していく場面に会い、まず私達が行うべきことであると思いました。症状コントロールのために必要なことは、1]症状緩和に必要な方法(使用する薬剤とそれ以外)に対する正しい知識をもつこと。なるべく医師と同等の知識をもつことが必要であると考えます。2]患者さんの病状のアセスメントが的確にできる。3]症状コントロール方法の選択。薬剤であればできる限り経口が第一選択とします。これは一番患者さんの負担が少なく、管理しやすいからです。4]患者さんの生活を重視した方法で行う。5]患者さん自身が参加し、マネジメントする。内布先生の講義でも大切さが分かりました。今後発展していく分野であると思います。6]薬物療法のみを重視しない。7]症状コントロールを見直し、ケアを継続していく。症状は日々変わっていきます。コントロールできても何度もチーム間でカンファレンスしていくことが大切です。またどの側面においても科学的・論理的な根拠をもつことが大切ですが、注意すべき点は私達がミニドクターにならないようにすることです。常に患者さんの生活を考慮した見方が必要であると思います。

 

3) コミュニケーション

緩和ケアにおいて基本となることです。緩和ケアは人間対人間の関わりの中で行われていくもので、告知、インフォームドコンセント、精神的ケアなど様々な場面でその技術が要求されています。コミュニケーションをする上で大切なことは、1]患者さんの気持ちに焦点を合わせる。気持ちは目に見えなく、個人の主観的な見方で自分のものとして理解することは困難です。時には誤った見方をしてしまうこともあります。それを避けるために、患者さんの気持ちを必ず確認し、推測はしないことが大切です。相手を受け容れる柔軟な心をもつことも必要であると思いました。2]看護婦としてではなく一個人として接する。看護婦として接すると頭の中で答えを言わなくてはという思いにかられ、患者さんの話が聴けなくなります。一個人として接することで気負いがなくなり、心が通いやすくなります。死生観や人間観をもつことで会話はより深みを増すと思われるので、自分の考えを再確認することが必要であると思いました。3]非言語的コミュニケーションの必要性。コミュニケーションにおいて、80%をこれが占めています。会話より態度、仕草は患者さんに見られており、及ぼす影響は大きいです。4]チームアプローチの必要性。緩和ケアは他職種間の関わりがもたれています。職種間に優劣はありません。同じ目標の下、集まった同士であり、お互いの立場や役割を尊重したコミュニケーションが必要です。

 

4) 家族ケア

緩和ケアにおいては患者さんと家族は一つの単位として扱われます。今まで別個の単位としてケアしていた私としてはショックなことでした。また、患者さんにも生活歴があるように、家族にもその家族が歩んでこられた歴史があります。決して家族を非難せず肯定的に捉えるようにしなければいけません。患者さんが発病により苦しんでおられるように、家族も同じように苦しんでいる存在です。このことからも家族ケアは家族の状況に合わせて、入院当初から行うことが必要です。その内容は、まず家族の疲労に配慮し労いの言葉をかける。家族が不安を表出できる場の設定。具体的な看病の仕方を助言する。家族の希望を聴く。死別後のケアなどがあります。

 

 

 

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