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8) 遺族へのケアは患者が入院した時から始まっている

実習最終日に、年に2回行われているという遺族の会に参加させていただいた。生活を共にした病院スタッフからの言葉かけや、同じ場所で大切な人を失った体験や故人の思い出を共に語り合うことで気持ちは癒される。このような会を催すことは、遺族がつらい悲しみを乗り越えていくための支えとなっている。「患者が満足して死なない限り、家族に平安はない。患者に納得のいく生死を生ききってもらえてはじめて、家族に死なれがいが生まれる。そうなってはじめて、家族のケアは報われ、つかれた神経はいやされる」1)。患者が入院した時点から患者・家族へ十分なケアを行うことが、遺族となる人達を支えていくことになる。

 

病棟開設に向けて検討すべきこと、準備すること

 

1) 病棟理念の明確化

2) 入退院基準の検討

3) 病棟理念に基づく看護方針を考える。

4) 緩和ケアの考え方や病棟の方針について院内職員の理解を得る。

5) 看護体制や看護方式の検討

6) 病棟開設までのスタッフの学習会の検討(看護婦、看護助手、クラーク)

7) チームメンバー全員で、緩和ケアの考え方などについてディスカッションや学習会を行う(意識の共有化)。

8) 看護業務基準や手順作成

9) アセスメントツールやフローシートの検討

10) ボランティアの教育について検討する。

11)患者・家族が快適に過ごせる環境、家庭的な環境、看護しやすい環境という視点から、環境、設備について具体的に要望を出す。

 

最後に今回の実習で私達を暖かく受け入れ、ご指導くださいました病院スタッフの皆様に深く感謝いたします。

 

<引用・参考文献>

1) 小原信:ホスピス、1999、筑摩書房

2) 季羽倭文子、石垣靖子、渡辺孝子他:がん看護学、1998、三輪書店

 

 

 

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