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コミュニケーションスキルの講義では、看護者の意図的な関わりが、患者さんにとって、これほどまで大きな影響を与えるということを知り感動しました。と同時に、責任も感じ、今後プロの看護婦としての自覚を持ち、コミュニケーションスキルを大切にとらえ、磨いていくことの重要性を感じました。

看護者と患者さんの関係に治療的な関係が築いていけると、患者さんはその関係の中で癒されたり、また、患者さんの気持ちに良い変化を起こさせたり、さらには、自分の病気と向き合うようになれたり、希望や愛や期待、喜びを体験することによっては、苦悩や苦痛を軽減できるということを学びました。そして、そのような関わりは、たまたま時間があるからするというのではなく、検温に行った時に話が聞けたという偶然もあるかもしれないけれど、そうではなく、意図的に自分から、患者さんの側にいなければいけない時を知って、側にいたり、話を聞いたりすることが大切だとも講義の中でありました。そうありたいと思いつつできていない自分を反省し、今後できるように努力したいと思います。そして、患者さんという括りではなく、一人の人間として大切なんだと看護者が思っていることを患者さんが感じられること、患者さんと真剣に向き合う姿勢の本当に重要な意味を学びました。また、精神面だけではなく、患者さんの痛みや倦怠感など、全身で感じている辛い症状を、なんとかとってあげたいという気持ちと、とれなかったとしても、その辛い症状を誰かがわかってくれているということを患者さんが感じられれば、それでがんばれるのだということも学びました。痛みがあるのに、「さっき注射したばかりなのに」と言われることは、患者さんにとってとても辛いことであるのだということも本当に理解できました。実習でも、患者さんの訴えを自分の価値観や判断で否定しないことの大切さも教えていただきました。また、実習中、このような意味を実感する場面にたくさん出会い、看護婦としてはもちろん、人間としても大切にしていきたいと感じました。

次に、症状コントロールの講義でも学びがありました。

1つ目は、解剖生理学に基づいて症状マネジメントを行い、有効なケアをするということです。薬物にたより過ぎていることが多いけれど、非薬物療法を取り入れていくこと、どんなケアが効果があるのか探求していくことが大切だと感じました。

実習中、黒川婦長さんには、患者さんの症状コントロールをするのに“何かできることはないかという姿勢”が大切であることと、何かケアをしてみた時に、あまり効果がなかったと評価しがちであるけれど、1分でも効果があれば良しとし、手をこまねないで繰り返し行うことの大切さを教えていただきました。

2つ目は、ペインコントロールに関してですが、患者さんは自分で疼痛緩和行動をとっているということが印象的でした。患者さんは疼痛を緩和するために、鎮痛薬を使用する他に、マッサージをしたり、体位を工夫したり、気分転換をするということでした。散歩をしたり、他者と話をしたりするのは、痛みを紛らすためであり、「さっきまで散歩してたのに本当に痛いのか」とか「さっきまで笑って話してたのに」と考えるのは間違いであるということ、実習中に体験した音楽療法もその1つであると思います。

3つ目は、症状を持っているのは患者さん自身であり、症状マネジメントの専門は患者さん本人であるということです。看護婦は患者さんの潜在能力に働きかけ、最大限それが使えるように援助し、足りないところは補うという、セルフケア能力を高めるような関わりの重要性を知りました。また、セルフケアという意味についても理解することができました。乳がんの全身骨転移の患者さんが自力でトイレまで歩いたり、自分でADLができることがセルフケア能力があるということではなく、骨折の危険性があることを自分で理解しており、トイレまで車イスで行くことを要請できることがセルフケア能力があるということであることを教えていただきました。

 

 

 

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