日本財団 図書館


実習目標

1. 緩和ケアの実際を知る。

1) 施設の概要を理解し、その中でホスピスがどのような役割を果たしているかを理解する。

2) 医療チームの中で他職種と協力しながら患者のケアを担う看護の役割を理解する。

3) 施設の中で行われている看護ケアの工夫や問題解決の方法を知る。

2. 講義での学びと実際を具体的に結び付けて考えることができる。

3. 緩和ケアにおける看護の専門性について考えを深めることができる。

 

実習施設は、全国のホスピスまたは緩和ケア病棟に依頼し実施した。清瀬13施設、神戸12施設で1名または2名の研修生を配置した。実習内容は上記の実習目的・実習目標から更に個々の目標を設定し、それが達成できるように各実習施設と調整の上計画を立て実施した。特定の患者を受け持ち、その人へのケアを通して緩和ケアを知り、具体的な視点から全体をみることを学んだ者。病棟全体の動きや個々の看護者がどのような実践を行っているのかを知ることにより、全体的な視点から緩和ケアの具体的な援助について考えた者がいた。実習形態は主にこの2つのいずれかであった。

実習報告会において各自が実習で学んだことをお互いに発表し、たとえ表面的ではあっても一つの施設だけでなく、様々な施設での緩和ケアの実際を学ぶ機会を得ることができた。

忙しい日常の中、同じ看護を目指す前進者として受講生の実習指導を快く引き受けてくださいました施設の皆様に深く感謝の意を表したい。

 

<受講生の実習に対する評価>

受講後のアンケート調査では「実習を行うことによって具体的な実践への方向性を見出すことができた」とする人が全体の80%を占め、この研修の中での実習の重要性を認識させられた。具体的には、緩和ケアが特別な看護ではなく、どこででもどのような患者にも提供されるべきケアであることの再認識、そしてまたチームアプローチの重要性について多く学んだとの意見が聞かれた。

 

おわりに

 

平成10年度41名、平成11年度46名の受講生が研修を終了することができた。平成10年度の受講生の中には研修終了後、ホスピス・緩和ケア病棟を開棟し、現在施設で活躍している方からの近況報告も届いている。この研修の受講者が実際にホスピス・緩和ケア病棟で看護に携わっていくことは、私たちにとっても研修の目的を果たしているものと考える。

また、今年度は一般病棟で緩和ケアを志す人も多く受講されていた。共に終末期看護を目指す者として、条件・環境の整わない中でより良い緩和ケアを提供しようとする必死な思いが伝わってきた。この研修を受講した方々が、それぞれの場所で研修の学びを実践に生かし、多くの終末期患者やその家族に、より質の高いケアを提供できるようになることを願い共に努力していきたい。

(看護教育・研究センター継続教育部 金子 祐子 記)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION