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VII. 神戸港の内航フィーダー貨物等の誘致における課題

1. 西日本における海外ハブ港経由貨物の呼び戻し

(1) 現状

神戸港の内航フィーダーコンテナ貨物取扱量は、阪神・淡路大震災の影響により、平成7年の取扱個数は5万TEUまで減少したが、その後、新規航路の開設、新たな港への寄港開始等により航路数が増加したため、中国・四国方面の取扱量の増加により、平成10年には12万TEUまで回復している。しかし、震災以前には神戸港の内航フィーダーコンテナの6割以上のシェアを占めていた北九州港を中心とする九州方面の取扱量は平成6年度と比較して約7割と低迷している。

これは、西日本の地方港整備の進展に伴い、地方港とアジア諸港間の航路の拡大を背景としたアジア方面貨物の減少、また、近隣アジア諸港の整備の進展により、従来、神戸港を経由して北米、欧州方面に輸送されていた貨物が、韓国の釜山港をはじめとする海外のハブ港を経由して輸送されるケースが増加しているためであると考えられる。

インタビュー調査においても、大手の荷主企業が神戸港経由を釜山港経由に変更したケース、釜山港経由の方がコスト面でメリットがあるとする指摘、日本の港湾を利用するよりも釜山港経由の方が目的港までの所要日数が短いとする指摘等があり、神戸港の内航フィーダーは海外ハブ港を経由するルートとの間で厳しい競合を強いられている。

今回のアンケート調査では、神戸港経由ルートと釜山港経由ルートを比較すると、運賃面で釜山港経由の方がやすいといった結果が得られた。一方で、外航船社や西日本の利用運送業者へのインタビューでは、釜山港経由と神戸港経由では運賃に大きな差はないといった声も聞かれており、海外ハブ港に流出しているコンテナ貨物は、今後、神戸港への内航フィーダー貨物の誘致を推進していく上で、積極的に呼び戻していくべきターゲットとして捉えることができる。

 

(2) 課題

1] $100を目標としたトータルコストの削減

・神戸港の外航船社へのインタビュー調査では、$100程度のコスト削減が行われることにより、釜山港を母港とする中継貨物を神戸港に積極的に誘致していくための条件が整うといった意見が得られた。

・現在、内航フィーダーの利用は、外航船社の航路戦略に因るところが大きく、今後、神戸港への積極的な集荷活動を進めていくためには外航船社の協力は不可欠である。

・そのため、$100のコスト削減を目標を掲げ、神戸港関係者が連携しながらコスト削減を進めていく必要がある。

 

 

 

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