根本 そうですね。日本人は海や船を知らなさ過ぎます。海や船の経験ができにくいのです。今の子供たちは海へ憧れることがあるのだろうかと思います。
それと最近よくマナーが悪くなったという声を聞きますが、私は最近海に出てきた人たちはマナーが何かということを知らないのではないかと思います。
山本 モラルやマナーの問題は小さいときの育ち方によるのでしょう。
海での遊びの部分を増やしていく、もしくはわれわれのような団体が働きかけて海や船との接触の機会をつくることだと思います。海の日の七月二十日だけを盛り上げても効果はありません。
菅野 確かに今の青少年にどうしたら海に親しんでもらえるかという課題があると思います。
私は江ノ島沖で小さな子供たちが小さな帆を揚げたヨットでカルガモのように一列に並んで出でくる光景を見たことがあります。あのようなものをもっと各地で盛んにすることはできないでしょうか。
山本 あれはたしか東京オリンピック後、デンマーク王室から寄贈されたOPデキシーです。現在、日本の少年も国際大会に参加してよい成績をおさめているようです。
現在横浜には市民ハーバーと横浜ジュニアヨットクラブの二箇所にそのような子供たちのための基地がありますが。海洋国でありながら青少年のために使えるスペースが限られているので残念です。
菅野 横浜が素晴らしいと思うのは、ボート天国の会場が「みなと未来21」の目の前にあることです。他のところではこれほど良い場所に広いスペースを開放しているところはないと思います。多くの市民の集まる場所でのあのような催しが、とくに子供たちの海への憧れを沸き上がらせるのではないでしょうか。
浮いていれば助かる
菅野 救命衣の常時着用運動を進めていますが、あの有名なヨットマンでさえ海中転落時救命衣を着用していなかったとのことでびっくりしました。漁船、プレジャーボートで救命衣を着用してさえいれば助かったと思われるものは相当の数だと思います。
山本 私は、かなりスリムになったボンベ付きの救命胴衣をいつも着ています。これだと作業に支障はありません。最近出た製品です。
根本 常時着ている人はほとんど見当たりませんね。
菅野 今のものはゴワゴワして作業がしにくく、夏などは暑いという理由で着ないようですね。調べてみると最近は作業性のよい、通気性のあるものが出てきています。現代人にはファッション性が求められますが、最近のテレビ中継ではレポーターがカラフルなものを着ていますよ。
後は価格ですかね。