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記憶か記録か

菅野 先ほど山本さんから乗り揚げしかかった事例の紹介がありました。乗り揚げ防止には船位の確認が重要ですがGPSなとは積んでいるのでしょうか。

根本 積んでいますが、岸近くではほとんど使わないですね。GPSは針路を決定するのに使用し、その後はコンパスでその針路を走るようにしています。

山本 私のヨットには積んでいませんが、一度モーターボートで伊豆大島に行ったときGPSを使ったら位置が分かり安心感がありました。

菅野 小型の船もGPSはぜひ積んでほしいと思います。霧が出た場合とか夜間は特に有効と思います。しかしGPSには画面の大小などいろいろあり、その性能をよく理解して使用する必要があります。岸に近いところでは、浅瀬との関係などが安全かどうかGPSだけでは判断できないので、気になるところではやはり海図などでチェックしながら走ることが必要でしょう。

また、GPSに航跡を残しておけば、急に霧が出て陸が見えなくなったときなど、逆にそれを辿って帰港すれば安全です。

山本 まだヨット歴の浅い友人が「ブイ回りをチェックして走った」といっていましたので、よい経験をしていると励ましました。しかしメモはしていないと思いますが。

漁港に入港するときやそばを通るときは漁船がその港に出入りするところをよく見るようにしています。記録まではしていませんが。

菅野 モーターボートやヨットの場合の船位確認は、ほとんど経験に基づく目視だと思います。ですから、ちょっとの判断ミスが座礁などの事故につながります。自分の行動範囲の略図とか海図のコピーに目標とか危険箇所を書いた「自分図」とでもいいますかそのようなものを作り手元に置くことをお勧めします。

行動海域はある程度決まっているでしょうから、一度作成すればいつも活用でき便利です。

根本 調査といえば、私は時化のとき、よく車で海の様子を見にいくのです。そうするとどこに岩があって、どういう入り方をしなければいけないかが分かります。

先週も千葉県保田に行って干潮時の岩の出方などを見てきました。保田にはよく入りますので……

菅野 記録はとるのですか。

根本 記録しませんが、何回も行くと頭の中に残りますから、何かで避難する場合、どのように行動すればよいかが分かります。

菅野 前に言いましたようにせっかく調べたのですから記憶より記録ですよ。あの長嶋監督は記録より記憶に残る人だそうですが(笑)、野球と海は別です。必ず記録して自分図、自分ノートを作ってほしいですね。そのようなものをつくるのは案外楽しいものですよ。

 

気象・海象の把握

菅野 プレジャーボートのような小型船の安全運航には、気象や海象が非常に大事だと思いますが。

山本 私は海へ出る三日前から天気予報に注意し、全体の動きを見ます。しかし航行しているときは主として観天望気ですね。

根本 私のボートは小さいですが、バロメーターは付いてますので、気圧変化をみます。横浜マーチスや漁業無線局の気象放送を聞きますし、漁業無線の定時予報も必ず聞きます。

また、天候が変だと思ったら電話の一一七番で予報を聞き三崎漁業無線局に現況を聞いて判断します。

菅野 根本さんはそれだけ慎重ですと言うことなしですね。一般のボートはどうでしょうか。

山本 ラジオは積んでいてもカセットテープで音楽を聞いているのが多いようです。

 

 

 

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