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年頭挨拶

第四管区海上保安本部長 後藤光征

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新年明けましておめでとうございます。

平成12年の新春を迎えるにあたり、中部小型船安全協会の会員の皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は、東海村の原子力施設での事故等国民の安全に対する信頼感に大きな陰りを落した事故が相次いで発生しました。第四管区海上保安本部の管内においても、伊良湖水道において大型の自動車運搬船と貨物船が衝突して乗組員4名が死亡・行方不明になるという事故が発生しております。

一方、激しく変化する国際情勢のなか、当管区においては、巡視船「みずほ」が東ティモールの邦人保護活動の一翼として派遣され、また、台湾地震に際しては巡視船「いすず」の乗組員が国際緊急援助隊として派遣されるなど海上保安業務の新たな国民の皆様のニーズを実感した年であったと思っております。

 

さて、近年、経済が低調とはいうものの、海洋性レクリエーションは依然活発であり、昨年は五級小型船舶操縦士の免状が新設されたこともあって益々盛んとなっており、また、当管内の三河港蒲郡市にベースキャンプを置いているニッポンチャレンジチームがヨットレースの最高峰アメリカズカップ予選のルイビトン杯を二位の好成績で通過し、アメリカズカップ挑戦権獲得さらには同カップ優勝への期待も高まっているところでございます。このように、伊勢湾及び三河湾における海洋性レクリエーションは、ますます進展するのではないかと思っております。

その一方で、当管内の海難事故の発生状況に目を向けますと、発生件数に占めるプレジャーボートの割合が管内のみならず、全国的にも第1位となっており、操船あるいは船舶に関する初歩的な知識や技量の不足が主な原因となり発生している事例が少なくなくありません。また、プレジャーボートの増加に伴い河川等の不法係留、水上バイクの騒音、暴走等海におけるマナーの欠如等による問題等も各地で発生しております。

 

このような中、中部小型船安全協会が実施している海難防止のための安全講習会や親子安全教室、あるいは海上安全指導員の皆様が実施している安全パトロール、現場指導等のきめ細かな安全に関する啓蒙活動といった活動が今後ますます重要なものになって来ることは言うまでもありません。そして、こうした諸活動を支えるのは会員の皆様はじめ海上安全指導員の方々の旺盛なボランティア精神であり、プレジャーボートの事故防止や運航者のマナー向上のために、安全パトロール、現場指導にと日曜、祝日等を返上して、積極的に取り組んでいただきましたことに対し、心から敬意を表するとともに、第四管区海上保安本部といたしましても、今後とも貴協会と共に海難防止思想、海事知識の普及啓蒙に努め、健全な海洋レジャー活動の育成・発展に努めたいと考えておりますので、会員の皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。

最後に、協会の運営にあたりまして、役員の皆様を中心として積極的に協会の事業を推進しておられることに対しまして、深謝いたしますとともに、貴協会のますますの御発展と皆様の御多幸を祈念しまして年頭の御挨拶と致します。

 

 

 

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