日本財団 図書館


すなわち伝達域においては、気象庁から関係機関などに津波警報が伝達された場合に、気象業務法施行規則第一三条に定められ設置されている「サイレン、鐘」や有線放送・同報防災無線(スピーカー)などにより住民に周知され得ますが、空白域においては消防・警察機関などの広報車やパトロールカーなどが現場まで出向いて走り回り、スピーカーなどにより周知するしか警報伝達の手段がなく、緊急事態には到底間に合いません。

海岸部では、海水浴場をはじめ海浜公園、磯釣桟橋などのレジャー施設が増え、その他の海岸でも磯釣り、磯遊びなどが行われています。

また、沿岸部の海上でも定置網やノリ・ワカメなどの栽培・養殖漁業、磯漁業などの漁業活動や防波堤や埋め立て造成などの各種工事・作業が行われています。

この他にも最近はヨット、サーフィン、ボードセーリングや船釣りなどいろいろな海洋レジャー活動が活発化しています。

このシステムは、このような最近の海岸や海域状況に目を向け、前記空白域において活動している多くの人々に「津波警報が発令されましたよ!」ということを迅速に知らせ、これらの人々の生命を守ることを目的として開発されたものです。

 

開発の状況

 

日本海難防止協会は平成九年度および十一年度の二回、このシステムとその普及を図るべく事業として取り組みましたが、開発に携わった関係者の作業を含めてその状況は次のとおりです。

(1) 平成八年度

日本海洋レジャー安全・振興協会の事業として、火工品メーカーの研究・開発((財)シップ・アンド・オーシャンの補助)と連携して開発を行った。

(2) 平成九年度

日本海難防止協会は、前記開発された同システムについてその有用性を認識し、過去に津波被害を受けた地域を選定し公開実験を行い、本システムの有用性を普及することを目的として、「新津波警報伝達システムの普及」事業に取り組んだ。

公開実験は岩手県宮古市および静岡県沼津市の二カ所において実施し、アンケート調査を行った。

なお、九年度は有識者による委員会を三回開催し検討を行った。委員会からは発音弾のみではなく発煙弾も組み込むべきとの提示を受けた。

(3) 平成十年度

火工品メーカーが前記委員会意見の提言をもとに改良と実験を行い((財)シップ・アンド・オーシャンの補助)、発煙弾を開発した。

(4) 平成十一年度

日本海難防止協会は、前記改良・完成品についての公開実験と普及活動を行った。

公開実験は宮崎県日南市および北海道釧路市の二カ所において実施し、参加者からのアンケート調査を行った。

 

システムの概要

 

(1) システムの概念

1] ロケットによる打上げ

この警報伝達手法のヒントは船舶の遭難信号から得られています。現在のものとは異なっているでしょうが、あのタイタニック号の遭難時にも遭難信号が打ち上げられています。

 

010-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION