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毎日、東アジア、東南アジア海域で発生した海賊情報を衛星経由で航行中の船舶に対して広く配信しています。また、ハイジャック事件等緊急を要し、政府機関の協力が不可欠と判断される時には、必要に応じて政府関係機関当局へ通報を行います。

なお、最新情報として、今年十二月二日から、海賊対策のための新たな情報提供として、海賊関連情報をインターネットで提供することも開始しました。このウェブサイトは、一週間単位で海賊関連情報を閲覧できるようになっており、毎週火曜日に更新されることになっています。ちなみに、ウェブサイトでの海賊情報提供は、海賊センターに先駆けて一九九九年八月から日本財団が「海賊情報データベース」として、日本語にて掲示しています。日本財団では、日本船社からの情報に加え、海賊センターからの情報をも盛り込んでいます。(ウェブサイト・アドレスは文末に掲載)

同センターでは、これまでの情報提供方式では陸上機関では入手できなかったこと、航行中の船舶でもたまに受信できないことなどがありましたが、今回インターネットによる情報提供はこれらの問題を解消し、要注意海域を航行する船舶に対して、例えば本社等から船舶に対して注意喚起通報をテレックスなどにより実施することが可能になるとしています。

2 海賊事件の分析、レポートの編集

年四回、海賊情報のレポートを編集しているほか、年一回「海賊および海上強盗に関する年間レポート」を編集しています。

前記の情報提供活動は、寄付金の提供者であるとか特定の船社や船舶所有者に限定するものではなく、一切の条件にかかわりなくすべての船舶に対して無料で行われるとしています。また、事案の内容等必要に応じて、上記情報収集、提供業務に加え、次のような業務も実施するとしています。

1] 海賊事件に迅速に対応するための調査チームを派遣すること

2] 海賊の支配下にある船舶の所在を突き止め、貨物を取り戻すこと

3] 海賊を裁判にかけるために必要な協力をすること

4] 海賊に襲撃された船舶の乗組員、船舶所有者への援助をすること

5] 海賊事件に関する証拠収集(対政府関係機関当局通報用)

 

海賊センター所長のコメント

 

本稿についての了解を取るべく海賊センター所長に連絡、「海と安全」が在星海事関係企業を含めた日本の海事関係者に広く読まれていることを説明し、海賊対策について次のようなコメントをいただいたので参考までに紹介します。

「海賊事件を撲滅するには、小さな海賊事件でもそれを公にして、政府関係機関当局に海賊事件の実態を認識させ、パトロールの強化等につながるよう政府関係機関当局の関心を高めていくことが最も重要なことである。海賊情報を公にすることは、海賊多発海域を航行中の船舶に対して注意喚起を促し、海賊事件を未然に防止する可能性を高めることにもなる。

海事関係者の多くは、海賊事件を政府関係機関当局へ通報すると調査のために船が引き止められるなどの理由から、通報をためらう傾向にあるようだが、少なくとも当センターには通報して欲しい。当センターはどのような小さな海賊事件も通報を受け付けている。

当センターは世界の海賊事件像を明確にすることにより、海賊事件多発海域等の問題海域については管轄国政府関係機関当局へ通報、注意喚起を行い、パトロールの強化を促している。どこにも通報しなければ、かえって海賊事件を助長させていくだけであるということを認識して欲しい。

なお、当然のことであるが、船上で人身殺傷事件が発生した場合は直ちに政府関係機関当局へ通報すべきであることは申し上げるまでもないことである。それから、現在、インドネシア、ソマリア海域への航行については、十分に注意していただきたい。」

 

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