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8 サンプル採取量

サンプルの採取量は、いずれの試験法も分液ロートの下部から行われているが、舶査第52号及び横揺れ振とう法についてはかく拌停止後、直ちに振とう機から分液ロートを外し、採取口を下方にして静置して、所定の時間後に採取している。各試験法の海水量とサンプル採取量は表IV-3のとおりである。表IV-3に示すように海水量60%を採取している試験法もあり、採取量によって分散率の値が影響するものと考えられ、検討する必要がある。

 

表IV-3 各試験法のサンプル採取量

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本調査研究によると、分液ロートの土層部ほど分散率が高い結果が得られた。このことは7項目でも述べたように下層ほど安定した小さな粒子で水中浮遊の時間が長く、安定した分散層を形成することによる。サンプル採取量が多いと不安定な粒子を取り込むことが多くなること、また油分を抽出する試薬量が多くなることが挙げられる。このことから、採取量を100ml、採取位置を最下層を採用することとした。

 

・ 採取量 100ml

・ 採取位置 最下層

 

9 油処理剤の添加

油処理剤の添加方法としては、予め混合と別々添加の2つの試験方法がある。試験結果によると別々添加の分散率が一様に低い値を示している。実験室実験では少量の油面に油分散剤を均一に滴下するのが難しい点である。その問題点は次のとおりであり、予め混合による方が再現性が高い結果が得られる。

a. 界面張力により油が一方向にかたより海水面が現れる

b. 現有の油処理剤は海水中に分散する

c. a項の現象により油分散の添加量にバラツキが生じる

d. 実験の再現性が悪い(繰り返し回数が増える)

本調査研究で使用している試験油は、3種1号で比較的粘度(3,000cst)が高く、油面が球面状で分散剤を滴下するとロールオフ(滑り落ちる)となり均一に散布することが難しい。このため、再現性の高い結果を得る必要性からは、予め混合が好ましい。また、各国の試験法についても、この理由により予め混合法が多く採用されている。

 

 

 

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