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6 試験温度

ラボファイナ法の試験温度は10±1℃で他の試験法は20±1℃である。

温度に関して問題となる点は油の粘度及びエマルジョン粒子の浮上速度などが考えられ、温度が低いと分散率が低下する。このため今回の試験結果から試験法の優劣の判定はできない。

現行の舶査第52号の試験温度は20±1℃で行っている。MDPC法では、現在、試験油は3種1号(C重油)の動粘度3,000cStとして実験を行っている。

この粘度を維持する温度は22℃で、周囲環境温度、器具、試験油等も同一温度として実験を行っている。試験温度は、C重油3種1号の性状範囲で3,000cStの温度を採用することとした。

ただし、試験油の性状によって、当該温度によったのではその粘度を3,000cStに保つのが困難である場合は、当該粘度を3,000cStに保つために必要な温度とした。

 

・ 試験温度 20±1℃ 

 

7 静置時間(採取時間)

静置時間は、3項目の容器の種類、4項目の海水量、5項目の油と海水の比との複合する問題である。

本調査研究及びFingas等の研究によれば、分散率は、静置時間が増加するにつれて低下する。この分散率の低下はおよそ3期に分類され、第1期は0〜10分で、大きい粒径が浮上するが、分散性能にバラツキがあり性能値は急勾配で低下し不安定である。第2期は10分〜20分で、不安定な微粒子がほぼ浮上し安定した粒子の範囲となる。第3期は20〜60分で第3期の低下率は緩やかな減少である。本調査研究の結果でも、静置時間が10分を経過するあたりから、静置時間の増加に伴う分散率の変化がほぼ一定の割合となっており、粒径の大きな粒子が浮上して、乳化層は、ほぼ安定した状態の粒子で構成されている様子がうかがえている。このことから静置時間は10分とした。

なお、舶査第52号による試験法では、静置開始から30秒後及び10分後の分散率の値を計測しているが、30秒後の分散率は、不安定な粒子をも採取していることとなり、水中に安定した状態で浮遊する粒子を採取して計測するのが望ましい観点からは、ある程度の時間が経過してから計測する必要があるといえる。このため、本試験法では、静置開始から30秒後のものについては計測しないこととした。

 

・ 静置時間 10分

 

 

 

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