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表IV-2 各試験法の海水量

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安定性の高い性能値を求めるには、ある程度海水量が多いことが望ましい。

予備試験結果によると、ある程度の空間容積が大きい方が、波の挙動が大きく滑らかな面を有していることから容器容積の50%程度の海水量が適当と考えられることから、海水量を決定した。

・ 海水量 550ml

 

5  油と海水の比

油と海水の比は、試験法によって2:50〜2:250の範囲である。油は、油分散剤でエマルジョン粒子となりかく拌静置後、クリーミング(浮上現象)→凝集→合一、水と油の分離過程をたどる。また、粒子径によっては、浮上速度が異なる。海水中でこういった現象があることを考慮すると、海水量の多寡によって分散率の値が影響するものと考えられる。即ち、海水量が多い場合、エマルジョン粒子間の距離が長く、また海水の深さが深いほど海水中での浮遊時間が長くなり分散率が高い結果となる。また、前述の3容器容積、4海水量にも関連する重要な問題であり検討する必要がある。

Fingas等の試験研究(図1参照)によると、油水比が1:200以下では分散率が低下し、1:20で特に大きく減少する。有効性の最大値は約1500で見られ、有効性は、1:1,000〜1:3,000までは比較的安定している。この変化は油分散剤の作用メカニズムが異なることを示しているものと考えられる。油水比が小さい場合、大量の界面活性剤が存在していることになり、この界面活性剤が相互に作用し合って、油に作用しないでミセル構造をとる。油水比が小さいと多くのミセルができ、これが油の一部を可溶化させる。油水比が高いと、油と界面活性剤の主な相互作用によって分散した油の粒子が形成される。1:500近くでは、これら2つのメカニズムが共に働き、はっきりと確認できる分散が増加する。このことから油:海水比は1:550とした。

・ 油:海水比 1:550

 

 

 

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