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横断隔壁はオイルフェンスを5m(15フィート)の長さの単体に分割されるから、破損や漏損や漏洩が発生しても、一個の単体で止められる。二重のスカートから入る水によって、安定度が増大する。オイルフェンスが回収されるにつれて、その部品はしぼむ。このオイルフェンスの乾舷の高さは120cm、喫水は150cm、予備浮力/自重比は52:1である。

3) USCG空気膨張式オイルフェンス(Oil Stop)

このオイルフェンスには、8基の浮き室が設けられていて、オイルフェンスが展張されるにつれて手動で空気を注入する。

このオイルフェンスの乾舷の高さは46cm、喫水は69cm、予備浮力/自重比は20:1である。

4) USN USS-42(高級布)

このオイルフェンスには浮き室が設置され、オイルフェンスが展張されるに従い、手動で空気を注入する。このオイルフェンスの乾舷の高さは39cm、喫水は70cm、予備浮力/自重比は8:1である。

前述のオイルフェンスの中で3基は大体同じ寸法ではあるが、防壁オイルフェンスは遥かに大きいことに留意されたい。

全部で37回の試験が静水中と波浪中で実施されたが、この試験計画には、高波試験が入っていたが、天候状態が悪く割愛された。オイルフェンスは0.5、1.0、1.5ノットでテストされた。オイルフェンスの中には高速時における水没の影響について試験されたものもある。曳航張力は記録、比較された。防壁オイルフェンスは静水中において同じ二つの速度に対し広いばらつき範囲の曳航力を示した。このばらつきの原因は、曳航船の速度のばらつきで、低速ではなかなか安定した速度が維持できなかった。(執筆者注:多くの船は、低速の曳航速度を維持する洩油対策のためには特別には設計されてはいないので、低速ではなかなか安定した速度が維持できなかった。これにより、ステーション保持問題と定常状態負荷より遥かに高い“スナッチ負荷”が発生し、ユーザーはオイルフェンスの引っ張り強度に大きな安全係数を与えて、こういうばらつきを受け入れることになった。)

海軍のUSS-42オイルフェンスは、USCG Oil Stop オイルフェンスより高い曳航荷重を示したが、両者は同様な諸元を持っている。本報告書は、この差が浮力/自重比と曳航時の喫水の差によるものだと言及している。このOil Stopの浮力/自重比は高く、多くの試験中にその乾舷の高さと喫水を維持している。海軍のUSS-42は、浮力が小さいから、高い曳航速度では、乾舷の高さが減少し、喫水が深くなる。喫水が深くなれば、水に接触するオイルフェンスの面積が増えて、オイルフェンスに加わる力が増大する。高い浮力/自重比をもつオイルフェンスは、波によく追随し、データもこのことを利用して乾舷の高さの減少は少なくなることを示している。

火災包囲用閉じ込めオイルフェンスは、浮力/自重比が5:1であるが、水没時の曳航速度は1.5ノットであった。この速度で端末接手の一つが破損した。1ノットの速度では、乾舷の高さの大半を失い、浮力/自重比もまた減少した。

防壁オイルフェンスは、浮力/自重比が52:1であり、水没はしなかったが、3.5ノットで凋み始めた。

 

 

 

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