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この速度での引張り荷重は22,000lb(96,800N)であった。全体としてこのオイルフェンスは、オイルフェンスの浮き室の中心軸に垂直及び平行な波によく追従した。乾舷の高さの変化は小さく、オイルフェンスの性能はあらゆる波浪状態と曳航速度で良好であった。

USCG Oil Stop オイルフェンスの浮力/自重比は20:1であるが、波によく追随し、0.5〜1.5ノットの速度で乾舷の高さは一定であった。水没は2.5ノットで発生した。

USNのUSS-42オイルフェンスの試験は速度範囲が限定された。このオイルフェンスは、浮力/自重比が8:1であるが、水没は約1.7ノットで発生し、オイルフェンスの中心軸に沿ううねりにはよく追従しなかった。

 

1] 一般的結論:

試験結果によれば、多くの場合、オイルフェンスに加わる力の実測値は、計算式で予測した力より遥かに大きく、特に高い波や曳航速度では大きかった。

この相違の原因の一部は、オイルフェンスの沈み込みで、これにより曳航速度が速くなると喫水が大きくなるからである。大型オイルフェンスの場合は、実際に水がオイルフェンスの内側に溜り、その結果、オイルフェンス内の乾舷の高さがフェンス背後の乾舷の高さより小さくなる。これもまた予測値の違いによる原因である。本報告書はまた、速い曳航速度における波に生じる渦の力はこの計算式には含まれていないと言及している。本件は今調査中であるが、今後はあらゆる操業条件に対して計算式の精度を改善する努力が必要であろう。(編集者注:試験結果は、大型オイルフェンスと、速い曳航速度におけるすべてのオイルフェンスに対し、フェンスに加わる力は計算式の3.5〜3.8倍となることを示している。これは研究不足かも知れないが、これらの値は安全係数と解釈して欲しい。

本報告書はまた、高い浮力/自重比をもつオイルフェンスは速い曳航速度を維持し、高い波においても効果的であることを報告している。平均操作速度が1ノットであれば乾舷の高さは最小でよいだろう。ただ、乾舷の高さが半分に減少すると、波に追随することはできず、飛沫による油の飛び出しや水没が発生する。

オイルフェンス内の油の厚みは曳航速度と共に増大するから、喫水はその厚みの増加を見込んで大きくして、オイルフェンスの下部からの油の漏油が発生しないようにする必要がある。波が高い時は、油は渦となって拡散することになるので、スカートの喫水を高くしてオイルフェンスの下部からの洩油を防止しなければならない。

最小引張り強度は、曳航速度と波の状態に関係するすべての条件の要求事項を考慮しなければならない。波と不規則な曳航速度で引き起こされるピーク時の曳航力(スナッチ荷重または瞬間荷重)によってオイルフェンスは破損する可能性がある。

 

2 火災包囲用オイルフェンスのテスト

1980年に始まる10年間は、火災包囲用のオイルフェンスの開発の時代であった。まず、Dome Petroleum製のステンレス鋼製のオイルフェンスで始まり、これは火災との耐熱、焼損場の度合い、再使用されるべく設計された。最近では、一回または何度かの火災にも使用できるが、その海域から撤去された時には、再使用は考えないという考え方に移行してきている。

 

 

 

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